病気やケガで動けないときに、一定期間仕事を休むことができる「休職制度」があります。
休職の内容は、勤務している会社によって内容が異なります。
実際に休職しようにも、勝手が分からず不安を感じてしまいますよね。
本記事では、休職についてわかりやすく解説していきます。
本記事の内容は以下の通りです。
- 休職とは
- 休職と休業の違い
- 休職手続きの流れ
- 休職期間は延長できるのか?
- 休職期間は満了になったら?
- 休職はどれくらいの期間とれるのか
- 休職中に支払われる給与額はいくら?
- 休職中の過ごし方
休職を検討している方は、参考にしてみて下さい。
会社員として働いているなら、給与や福利厚生などが完備されているため、安心して働くことができます。会社では従業員に対して法律で定められている給与手当があります。 そのため、仕事をする際はどのような手当が付いているのか、普段から確認して[…]
休職とは
- 従業員が労働勤務を提供できなくなった場合
- 労働に不適当な理由が発生した場合
上記のように会社が従業員の労働契約を維持しつつ業務を免除、あるいは拒否することを言います。
簡潔に言うと、「労働者が長期的に会社を休み、労働を免除されること」を休職といいます。
また、おもな休職理由は以下の3つに分けることができます。
- 傷病休職→ケガや病気で、長期間の休職をする場合
- 事故欠勤休職→病気やケガなど、自己都合で長期間の休職をする場合
- 起訴休職→刑事事件で起訴された従業員を、一定期間休職する場合
気をつけなけばならないのは、休職制度は労働基準法や法律で定められた制度ではないという点です。
会社によっては、休職制度が設けられていない所もあります。
ご自身の会社に休職制度があるかを事前に確認しておくと安心ですね。
また、休職制度は企業が設けることにもメリットがあります。
休職制度を設けることで、従業員の雇用を維持することが出来ます。
企業からすると、採用コストは大きな金額がかかるので経費削減につながるのです。
さらに、解雇による従業員とのトラブル発生を未然に防ぐことにもなります。
従業員に休職制度を利用してもらうことで、ケガや病気に治療に専念し復職を促すことができます。
採用コストの削減と解雇時のトラブル防止、労働力の確保という点は企業に大きなメリットがあると言えます。
休職と休業の違い
「休職」と「休業」を、混同してしまいがちですよね。
休職と休業には、明確な違いがあります。
休業とは、会社との雇用契約を維持したまま、業務を行わないことを指します。
労働の意思があっても、何らかの理由により働くことができないのが休業です。
休業では、雇用契約が維持されているので、「厚生年金」「健康保険」といった社会保険を支払う義務が発生します。
もし、休業理由が「業績不振や災害に会社都合の場合」は賃金の支払い義務が発生します。
ですが、支払われる賃金は全額ではありません。
労働基準法により、平均賃金の60%以上の休業手当が支払われます。
ただし、休業理由が労働者の都合による場合は給与は支払われません。
給与の支払いはありませんが、社会保険は継続されます。
また、労災や健康保険からの給付金は受給できる場合があるので確認しておきましょう。
休職手続きの流れ
休職制度を利用するための手続きは、以下の通りです。
- 医療機関での受診
- 診断書の発行
- 休職手続き
1つずつ確認していきましょう。
1.医療機関での受診
心身の不調を感じたら、まずは医療機関での受診をします。
休職の必要性のついては、医師の診断結果・仕事や現場の状況を鑑みた上で判断しましょう。
2.診断書の発行
医療機関での受診をして、医師から診断書を発行してもらいましょう。|
休職には、会社へ診断書の提出が必要だからです。
診断書の発行は、治療の経過観察から判断するため一定期間かかることが多いです。
ですが、症状が重く早急に治療を必要とする場合は、診断書が即日発行される場合もあります。
休職期間についても、医師が判断するので必要期間を記載してもらいましょう。
3.休職手続き
診断書を提出する際は、休職が必要な理由・今後の治療内容も説明する必要があります。
休職手続きは、提出した会社が事務処理を行います。
診断書の提出を終えたら、休職期間や休職中の給与・及び会社との連絡手段についてあらかじめ確認しておきましょう。
休職後に確認をおろそかにしてしまうと、後々困ってしまいます。
休職に専念しづらくなる可能性があるので、休職前にしっかり確認しましょう。
傷病手当金が適用される場合
休職中は、基本的に給与が発生しないことがほとんどです。
ところが、条件を満たすことが出来れば「傷病手当金」を貰うことができます。
傷病手当金とは、病気やケガによって休職中の「労働者と、その家族の生活を保証する」という制度です。
傷病手当金は、最長1年6ヶ月のあいだ支給されます。
ただし、「傷病手当の給付が始まってから職場復帰→ふたたび休職」という形を取った場合、職場復帰していた時期も1年6カ月の支給期間にカウントされるので注意が必要です。
休職期間は延長できる?
一般的には、診断書を貰う際に医師の判断によって休職期間が決められます。
休職期間が満了となれば、休職は終了です。
ところが、休職期間が満了に近づいても「医師の診断でまだ療養が必要」と判断される場合があります。
その場合は、就業規則の上限までは休職期間を延長することができます。
休職期間が満了になっても、まだ休養が必要な場合は延長を検討しましょう。
休職期間が満了になると退職しなければならないのか?
結論、退職になるかは勤務する会社の就業規則によります。
休職期間が満了になると、自身の勤務する会社から「休職期間満了の通知」が来ます。
満了時の病気やケガの状態によって、満了後どのようにするかを相談していきましょう。
- 会社に復帰する
- 会社を退職する
- 休職期間を延長する
自身の状態に合わせた、選択をしましょう。
休職はどれくらいの期間とれるのか?
休職期間は、法律上の規制がなく勤務する会社によって異なります。
ですから、明確な休職期間は会社によるとしか言えません。
「それでも、休職期間の目安を知りたい!」という方も多くいらっしゃいますよね。
漠然とはしてしまいますが、休職期間の目安はだいたい3ヶ月~長くて3年です。
労働政策研究・研修機構の調査によれば、病気やケガによって「病気休職」する場合、75%の企業が休職期間の上限を「最大2年」としています。
また、休職期間が1年未満と短く設定されているのは主に中小企業で、休職期間が3年・もしくは上限なしと長く設定しているのは大企業の傾向があります。
ほかにも、公務員の場合は「病気休暇」という制度があり、最大90日間の給与が発生します。
90日を超えると、最大3年の間は給与の80%が発生する「病気休職」に移行します。
休職期間は、会社員か公務員かでも内容が変わってくるのです。
休職中に支払われる給与額はいくら?
基本的に、休職中に給与を貰うことはできません。
なぜなら法律上、会社が休職者に給与を支払う義務がないからです。
しかし、休職中に給料の支払いがある会社も存在します。
休職期間中は、給与が発生しないと思っておく方がいいでしょう。
ですが、給与が発生しないと生活できずに困ってしまいますよね。
実は、公的な制度を利用すれば手当金を受け取れる場合があります。
それは、業務外でのケガなどを療養する際に健康保険から適用される「傷病手当金」です。
ここからは、傷病手当金について確認していきましょう。
傷病手当金の受給方法
傷病手当金は、以下1~4の条件を満たすことができれば受け取れます。
- 業務外でのケガや病気による休業である
- 療養の為に、仕事をできない状態である
- 連続する3日間を含め、4日以上仕事ができない状態
- 休業期間中に給与の支払いが無い状態
注意しなければならないのは、業務外の理由によるケガや病気での休業には適用されないという点です。
傷病手当金の受給を検討する方は、ご自身のケガや病気がどういった経緯で起きたのかを把握しておきましょう。
傷病手当金を受け取れる期間はどれくらい?
傷病手当金は、支給開始日から最長で1年6ヶ月間支給されます。
気を付けなければならないのは、復職してまた休職した場合です。
復職した期間も、1年6か月の内にカウントされてしまいます。
再度休職したとき、復職期間分は支給されないことを覚えておきましょう。
休職中の過ごし方とは?
「休職中はどのように過ごせばいいんだろう?何か特別なことをする必要があるのかな?」
と、不安になる方もいるのではないでしょうか?
休職中は、「勤務可能な状態になるまで回復に努める」という目標を達成する必要があります。
復職規定は会社によって異なりますが、医師の判断が目安となります。
求職中にしっかりと体調管理に努め、医師が十分に回復したと判断することで、復職する機会が与えられるのです。
また、体調だけではなく「業務を遂行できるかどうか?」も復職の判断基準になります。
休職中に目標は、大きく分けて以下の3つのポイントがあります。
- 体力の快復
- 生活リズムの回復
- 意欲の回復
ここからは、休職中に目指す3つのポイントを確認していきましょう。
体力の回復
休職を取った当初は、心身の疲労がピークの場合がほとんどです。
もし精神疾患を有している場合、まずは回復しやすい体力面を優先しましょう。
傷病休職は、職場復帰を目的としています。
ですから、まずは心身をしっかりと労りましょう。
ついつい今後のことを考えてしまいがちですが、休職中は休むことが仕事となります。
これからどうするかを考えるのは後にして、まずはご自身の回復を優先しましょう。
しっかりと体調の回復をすることが、結果的に復職への近道になりますよ。
- 生活リズムの回復
心身の疲労や、長期の休養期間が続くと生活リズムが乱れてしまいます。
とくに、精神疾患があると夜寝れないことも多く昼夜逆転の生活になりがちです。
生活リズムがズレた状態での復職は業務に支障をきたす可能性もあります。
徐々に復職前の生活リズムを取り戻すようにしましょう。
具体的には、起きる時間と寝る時間を決めて生活リズムを整えます。
朝は、日の光を浴びてウォーキングをしたり、朝食をしっかりとりましょう。
朝から活動的に動くことで、夜には疲労感から眠気が来るようになります。
このように1日のルーティーンを決めると、生活リズムの整えることに繋がります。
意欲の回復
休職初期の頃は、心身の疲れがピークで無気力状態になっていることが多いですよね。
休職している時間が経つにつれ、日常生活や仕事に対する意欲などが復活してくると思いま
す。
休職期間が満了になる頃には、意欲が取り戻せるようにしっかりと休養しておきましょう。
まとめ
本記事の内容をまとめます。
本記事の内容は以下の通りでした。
- 休職とは労働者が長期的に会社を休み、労働を免除されること
- 休業とは、会社との雇用契約を維持したまま、業務を行わないこと
- 休職手続きには、医療機関を受診し医師の診断書が必要
- 休職期間は、就業規則の上限までは延長することができる
- 休職期間が満了になったら、復職・退職・延長の選択ができる
- 休職期間は、目安として3ヶ月~3年間取ることができる
- 休職期間中は、基本的に無給。ただし業務外のケガなどが原因なら傷病手当金が利用できる
- 休職期間の過ごし方は、体力・生活リズム・意欲の回復を目指す。
休職制度は、法律で定められていないため、勤務する会社によって内容が異なります。
会社の決めた休職制度に、休養期間が左右されてしまうのが問題です。
最悪、休職制度が存在しない会社もありますが、昨今は減少傾向にあります。
慢性的な人員不足により、企業が雇用を維持したいと考えているからです。
休職制度を利用出来た際は、傷病手当金の申請を行い、給与が発生しない間の生活を補填しましょう。
また、休職期間中は心身をしっかりと休め、生活リズムを整えることを目指しましょう。
ただ、どうしても先行きが不安で精神状態が安定しない時もあるかもしれません。
ですが、そんな時は慌てずゆっくりと治療に専念しましょう。
そうでなければ、休職期間中に回復し終えることだできないからです。
回復できなければ、復職が遠のいてしまいますから焦らずにいきましょう。
ゆっくりと慌てず心身と生活リズムを整えることが、復職の近道になりますよ。
休職制度を有効に活用し、また元気に働ける状態を取り戻していきましょう。