会社員として働いているなら、給与や福利厚生などが完備されているため、安心して働くことができます。
会社では従業員に対して法律で定められている給与手当があります。
そのため、仕事をする際はどのような手当が付いているのか、普段から確認しておくことがおすすめです。
手当の内容を確認できれば、会社員や従業員として働く際も安心です。
法律や一般的に定められている給与手当のいくつかを紹介しましょう。
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法律で定められている給与手当とは?
給与手当には法律で定められているものがあります。
もし、会社の従業員として働いているなら、法律で定められた手当を確認しておくことで自分の収入を守ることができます。
法律で定められた給与手当は以下のようなものがあります。
残業手当
会社や雇い主側は従業員に給与手当を出す際に、労働基準法を厳守する必要があります。
労働基準法の中には残業手当について第37条に記載されて賃金に関して保証されているからです。
労働基準法では「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と記載されているからです。
1日の労働時間は法律で8時間ほどと決められており、1週40時間を超えて労働した場合は賃金が割増になります。
そして,従業員に残業させた場合は支払う賃金は通常の賃金と比べて25%増加します。
例えば、1週間の内45時間働いたなら、5時間は残業手当として金額が割増されます。
時給1,000円とすると、5時間分は25%割増で1,250円と計算できるでしょう。
会社によっては残業させて1週間の労働時間が40時間を超えたとしても、通常の料金設定とすることもありますが、それは違法です。
また1カ月あたり残業時間が60時間を超えたなら50%割増になることも保証されているので、覚えておきましょう。
深夜残業手当
法律では深夜残業の手当についても保証しています。
職業や業務内容によっては深夜に働く必要がある場合もあるでしょう。
法律で定められている深夜は夜の10時から翌朝の5時までとなっており、その時間内に支払うのが残業手当です。
深夜残業手当は通常の業務の25%割増で支払う必要があるので、時給1,000円であれば1,250円となります。
つまり、夜10時から翌朝の5時まで働いたなら時給はずっと1,250円となり、通常価格の給与ではありません。
もし、夜10時から働いて深夜手当が付いていないようなら、法律で定められた収入ではないので違法です。
深夜の時間帯で働くなら、給料明細をもらうときに深夜残業手当が付帯されているのか確認するようにしましょう。
休日出勤手当
休日出勤手当は会社が休みに当たる日に、従業員を労働させた場合に支払う手当てです。
休日出勤手当に該当するのは法定休日と法定外休日の2種類があり、法定休日は労働基準法で定められている休日です。
労働基準法では、雇用者は従業員に対して最低1週に1日以上、もしくは4週に4日以上の休日を与えなければいけません。
もし,休日に労働者が出勤するなら通常の賃金よりも35%割増した賃金を支払う必要があります。
法定休日は就業規則に盛り込まれていることを確認しておくのがおすすめです。
そして、もう1つの法定外休日は法定休日を上回る日数の休日を指します。
法定外休日は会社が独自で設定している休日ですが、もし法定外休日を定めて従業員に働いてもらった場合、通常賃金の25%を支払う必要があります。
ただ、割増が発生するのは1日8時間、または1週間40時間を超えた場合です。
つまり、労働基準法内で法定外休日に労働しても割増賃金は0%になることを覚えておきましょう。
会社が設定している一般的な手当とは?
法定で定められている給与手当は、どこの会社も守らなくてはいけません。
ただ、法律とは別に会社独自で定めている手当もあるので、自分の働く会社はどのような手当を行っているのか確認することが大事です。
会社が独自で行っている手当には以下のようなものがあります。
役職手当
まず、会社が設定している手当には役職手当があります。
役職手当は部長や課長、係長など会社の中で重要な役職に就いている方に支給される手当です。
会社によってはリーダー手当など、プロジェクトチームのリーダーとして働いている人にも手当を付けることもあり、普通の給与とは別に収入を得ることができます。
役職手当は一般の従業員の方には支給されないので、役職に就いている人のみですが、支給内容は会社によって違います。
また、係長と部長では役職でも働きと会社の中での地位が違うので、同じ支給金額とはなりません。
そのため、従業員は収入アップを求めて役職への昇進を目指している人も多いです。
自分の会社はどれくらいの手当がもらえるのか調査してみることもできるでしょう。
住居手当
住居手当は従業員の住居に対して支給される手当です。
住居手当は賃貸や持ち家に関係なく支給される金額であり、金額設定もバラバラです。
もしマンションやアパートなどの賃貸物件に住んでいるなら賃貸料を支給してくれることもあり、持ち家を持っている方なら住宅ローンの一部を雇用者が負担してくれることもあります。
住宅手当をもらえるなら従業員側としては生活費の負担が減りますが、会社が提案する条件を満たすことが必要です。
具体的な内容は会社によって違いますが、一般的には正社員であること、また扶養家族の有無によって支給金額が変わることもあります。
住宅手当は家族がいる人のみを対象としており、独身や1人暮らしの従業員には支給しない会社も多いです。
そのため、住宅手当を行っている会社でも全従業員に支給されるわけではないことを覚えておきましょう。
通勤手当
会社が独自で設定している手当には通勤手当もあります。
通勤手当は家から会社にかかる通勤費用を会社側が負担してくれることです。
支給する金額は従業員の通勤距離や手段によって変わっており、全額負担なのか一部負担なのかも会社によって変わってきます。
例えば、ある会社は通勤手当は金額を決めており、それ以上の金額は自己負担としている場合もあります。
また、車通勤の方は距離によってガソリン代を計算して、交通費を支給してくれることもあるでしょう。
また、正社員なのかアルバイトかによって交通費負担が変わることもあり、中には正社員のみ交通費を支給するように決めている会社もあります。
このように通勤手当は会社によって差が出るため、あらかじめ通勤手当について確認しておくのがいいでしょう。
家族手当
会社が独自に設定している手当には家族手当もあります。
家族手当は主に既婚者向けであり、独身の方は対象とならないことが多いです。
家族がたくさんいるほど生活や子供の養育にかかる出費は増えていき、家計を圧迫することになります。
そのため、家計の負担を減らして働き続ける環境を作れることを目的に、会社が一部負担してくれます。
家族手当は会社の設定によって違い、配偶者がいる家庭を含んでいることもあれば、子供がいる既婚者のみを対象としているなど様々です。
また金額負担も会社によって違いがあり、支給金額が1万円ほどのところもあれば2万円ほどの場合もあります。
ただ、家族手当を支給してくれるなら少なくても家計の負担を軽減することができるはずです。
配偶者や子供がいる方は家族手当についても考えてみましょう。
出張手当
会社が設定している手当には出張手当もあります。
出張手当は従業員が地方や県外などに仕事の取引などでかかる宿泊費用や交通費などを支給することです。
出張に行く際は飛行機や新幹線など、交通機関を利用して移動することがありますが、その1回の費用だけでも数万円もかかります。
これらの宿泊費なども含めると大きな費用になるため、従業員は会社に出張費を請求することが可能です。
会社側も出張にかかった費用は全額経費に回すことができるので、この費用は給与とは別に払い戻してもらえます。
もし、会社側が出張手当を支給してくれないなら、その企業はブラックの可能性もあります。
給与から仕事の経費を天引きするのは認められていないからです。この点に関しても確認しておきましょう。
皆勤手当
皆勤手当も会社独自で設定している手当です。
皆勤手当は一般的に社員が出勤すべき日全てに出勤した場合に支給される手当です。
会社の出勤日に出勤することは当然ですが、自分の諸事情や健康問題などによって欠勤してしまうこともあるでしょう。
出勤し続けるということは基本的なことですが、簡単なことではないので会社側が評価のために皆勤手当を行うところもあります。
皆勤手当の支給額は会社によって違いがありますが、大体月額5,000~1万円程度になります。
皆勤手当の条件も会社によって違い、月額で設定していることもあれば年で設定していることもあります。
会社では有給休暇も設定されていますが、これは労働者に与えられている権利として法律で認められています。
そのため、有給休暇を利用して会社を休むことは原則欠勤にはなりません。
そのため、皆勤手当を受ける際は有給休暇の使用が影響しないことが前提です。
もし、自分の会社に皆勤手当があるなら、この点も確認しておきましょう。
手当が未払いとなっている場合の対処法
会社が提供する手当にもいろいろありますが、これらの手当の条件に該当しているのに会社が支給してくれない場合は未払いとなっています。
もし、未払いの手当がある場合はどのように対処すれば良いのか知っておきたいでしょう。
以下の条件と対処方法を紹介しましょう。
過去2年分は請求することが可能
見未払いの手当がある場合は過去2年分は請求できる可能性があります。
手当は法律で定められているものはもちろん、会社が設定しているものでも規約に記載されているなら、受取る権利が従業員にはあります。
会社側は経営難などを理由に手当を支払わないことがあるかもしれませんが、従業員側は正当に請求できます。
請求期間は環境にもよりますが、過去2年に遡って支払い請求することができるでしょう。
証拠の資料を揃える
会社に手当の未払い分を請求するときは、給料未払い請求に必要な証拠を集めることが大事です。
証拠が無ければ未払いを立証することができないので、支払い要求しても対応してくれないことが考えられます。
未払いの証拠として利用することができるのは、給与明細書、給与計算や労働時間が測定できる資料となるタイムカードです。
また、就業規則や退職金規定、会社から配布されている勤怠表も未払い請求するときには必要となります。
可能であれば業務日誌や雇用契約の控えも揃えておくなら、手当についてしっかり立証することができるので、会社側も手当を支払わなければ違法となります。
集められるだけの証拠は揃えておき、手当を要求できるようにしましょう。
弁護士に相談する
会社の未払い分の手当や給料の支払い請求が難航しているなら、弁護士に相談することも検討すべきです。
自分で要求しても会社が何かと理由をつけて返金してくれないなら、手当をもらうのは難しくなります。
ただ、手当は従業員が受けられる権利なので、会社側が真剣に応じてくれないなら、弁護士に依頼するなら、必ず正当な方法で支払いに応じてくれるように動いてくれます。
もし、1年分やそれ以上の未払い手当があるなら、早急に対応してもらうためにも弁護士に依頼してか解決してもらうようにしましょう。
給与手当はしっかり確認しておこう
給与手当に関してはしっかり確認しておくことが大事です。
手当は従業員が会社から受けられる正当な権利なので、手当を確認して未払いがあるようなら請求するようにすべきです。
ぜひ、内容を確認してください!