扶養内で働くための収入上限とは? 超えた場合はどうなるの?

これから主婦ではなく働きたいと考えている人の中で、扶養内で働く上限が分からないという方が大半だと思います。

また、扶養内控除の上限を超えてしまった場合に、どのようなデメリットがあるのか気になっている人の多いでしょう。

そこで本記事では、扶養ない控除を受けることが出来る上限や扶養内で働く事によるメリット、扶養内控除の上限を超えた場合とその対処法などについて徹底解説しました。

本記事を読むことで扶養内控除への理解を深めることができるため、是非参考にして下さい。

扶養内控除の種類

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扶養内控除には「税制上の扶養」と「社会保険状の扶養」の2種類があります。

税制上の扶養控除は、所得税や住民税の控除、配偶者控除・配偶者特別控除に関するものです。

社会保険上の扶養控除は、健康保険や年金に関するものであり、ややこしいですが、全くの別物であるため、理解しておきましょう。

所得税の制度が変わった事によって変わったポイント

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税制が改正された事により、2020年から扶養に関する制度が大幅に変更されました。

所得税の制度が変わった事により、大きく変わったポイントは4つあるため、理解しておくようにしましょう。

給与所得控除が引き下げられた

所得税の制度が変わった事により給与所得控除が引き下げられるようになりました。

給与所得は給与収入の金額に応じた「給与所得控除」を差し引いて計算するのですが、給与所得控除が引き下げられたため、計算も少し変わってきます。

控除の上限が今まで1000万円でしたが850万円に引き下げられたと同時に給与所得の上限も220万円から195万円に引き下げられました。

しかしながら、23歳未満の子育て世代は「所得金額調整控除」が設定されるため、適用外となります。

この改正によって増税になる方と減税になる方とあまり関係のない方がいるため、確認してみましょう。

配偶者控除と扶養控除の基準額が引き下げられた

給与所得控除が引き下げられた事により、配偶者控除や扶養控除の判定が厳しくなったのではないかと思う方も多いですが、厳しくなったとは言い切れません。

なぜなら、税制改正された事によって上限が10万円引き上げられているからです。

実は配偶者控除・扶養控除の判定の厳しさは、税制改正の前後であまり影響はありません。

所得金額調整控除が新設された

年収が850万円を超える人は、給与所得控除が税制改正前よりも減ってしまうため、増税してしまいます。

しかしながら、特別障害者に該当する方や年齢が23歳未満の扶養親族がいる方、特別障害者である同一生計の配偶者もしくは扶養親族がいる方は例外となっています。

なぜなら、これらの条件に当てはまる方は所得金額調整控除が適用され、増税の負担を抑えることが出来るからです。

所得金額調整控除が適用される扶養の上限は、合計所得金額が48万円となっています。

寡婦控除の適用要件が見直された

所得税の制度が変わった事によって変わったポイントの4つ目は寡婦控除が見直された事です。

寡婦控除とは、配偶者と離婚してしまったり、死別後に再婚していない人の中で合計所得金額500万円以下の方が対象の所得控除となっています。

改正される前であれば、女性が受けられる寡婦控除と男性が受けられる寡婦控除では控除額が違いました。

しかしながら、税制が改正されると「ひとり親控除」が新しくできたため、同一生計の子供を扶養しているひとり親は男女間での控除額の差がなくなっています。

扶養が変更された点は、合計所得金額のボーダーラインが38万円から48万円に引き上げられた事です。

扶養内控除を受けることができる上限

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所得税の扶養内控除の上限は、配偶者か配偶者ではない家族かで大きく変わってきます。

配偶者であれば「配偶者控除」と「配偶者特別控除」という2種類の控除があり、配偶者ではない家族は扶養親族として「扶養控除」を受けることが可能です。

合わせて3種類の控除は配偶者によって受けることが出来るかどうかが決定します。

また、扶養内控除の判定の際に必要になるのは、源泉所得税などを天引きされる前の年収です。

3種類の控除について徹底解説するため、あなたがどの控除を受けることが出来るのか確認しながら読んでみましょう。

配偶者控除

配偶者控除では、配偶者の合計所得金額が48万円以下であるならば、世帯主の所得から配偶者控除を引くことが可能です。

しかしながら、税制が改正された事によって、世帯主の年収に応じて控除金額が変更されるという仕組みが導入されています。

世帯主の合計所得金額が1000万円を超える場合であれば配偶者控除を受けることができないため、注意しましょう。

配偶者特別控除

配偶者控除は配偶者の合計所得金額が48万円を超えてしまうと利用することができなくなってしまいます。

しかしながら、配偶者特別控除は利用することができ、配偶者特別控除は配偶者の合計所得金額48万円以上133万円以下、世帯主の合計所得金額が900万円以上1000万円以下である場合に利用することが可能です。

配偶者や世帯主の所得が大きくなっていくほど控除額が少なくなっていくため、理解しておきましょう。

扶養控除

扶養控除は、配偶者以外の被扶養者を扶養している世帯主の所得から引き、被扶養者の条件としては納税者と生計を統一している事と年間の合計所得金額が48万円以下です。

扶養控除の金額は基本的に38万円ですが、被扶養者が70歳以上である場合には控除額が上がります。

同居していれば58万円であり、同居していなければ48万円、被扶養者の中でも19歳以上23歳未満の方は控除額が63万円です。

扶養内で働く事によるメリット

家族内で今まで主婦でしたが、働きたいと考えている方などはいくらぐらい稼ぐと1番効率よく稼げるのか気になっている人は多いでしょう。

扶養内で働く事によるメリットを年収別で紹介しました。

年収103万円以内で働く場合

年収103万円は、配偶者控除を受けることが出来る上限となっており、103万円以下であれば配偶者の所得税や復興特別所得税も払う必要はないです。

主婦の方であれば夫の年収にもよりますが、配偶者控除を受けることで世帯主の所得税や復興特別所得税、住民税を少なくすることができます。

住民税は少なくすることができますが、年収98万円を超えると払う必要があるため、注意しましょう。

年収130万円以内で働く場合

年収130万円以下は社会保険料の扶養内の上限であり、世帯主の社会保険の扶養に入れば社会保険料の支払いを免除することができます。

しかしながら、勤務先の規模や働き方によっては、年収130万円以内でも支払う必要がある可能性があるため、注意しましょう。

配偶者の年収が103万円を超えてしまうと配偶者控除を利用できなくなりますが、配偶者特別控除を利用できるようになります。

年収150万円以内で働く場合

配偶者の収入が150万円以内であれば、配偶者特別控除として、最高額である38万円が適用されます。

世帯主の収入によって変わってきますが、配偶者控除の最高額も38万円であるため、同じ節税効果を得ることが可能です。

扶養内控除の上限を超えた場合とその対処法

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基本的に税金は収入が増えるほど重たくなっていくため、多くの金額を稼げば良いというわけではありません。

そのため、稼ぐ事によるデメリットを年収別に紹介しました。

年収98万円を越えた場合

年収が98万円を超えると、住民税を支払う必要があるため、98万円を少し超えるのであれば、ギリギリ98万円以内に収まるように調整した方が良いです。

しかしながら、住民税が掛かるからといって98万円以内に収めた人が100万円稼いだ人よりも特になるということはありません。

そのため、税金関係なく、少しでも多くの収入を得たいという方は気にしなくて良いでしょう。

年収103万円を越えた場合

年収が103万円を超えた際には、住民税にプラスで103万円から超えた分の5%の所得税と所得税の2.1%分の復興所得税が掛かってしまいます。

あまり大きい金額ではないですが、確定申告が必要になり、面倒になるため、手続きをできるだけしたくないという方は103万円以内に抑えましょう。

また、子供がアルバイトを始めたタイミングで誤って103万円を超えてしまう可能性もあるため、超えないように確認しなければいけません。

年収106万円を越えた場合

年収106万円を超えた場合は条件に当てはまってしまうと配偶者自身が社会保険に加入する事になってしまいます。

条件とは、配偶者が雇用契約が1年以上で週に20時間以上働き、月収が88,000円を超えており、勤務先が特定適用事務所であった場合です。

全ての条件に当てはまる方はそこまで多くないとは思いますが、当てはまってしまうと不とにんが増えてしまうため、気をつけるようにしましょう。

年収130万円を越えた場合

年収が130万円を超えた場合には、配偶者の国民健康保険料や国民年金保険料などの負担が増えてしまいます。

また、世帯主の勤務先から受けた保険証は使えなくなってしまうため、返却の手続きが必要になり、面倒なため、気を付けましょう。

年収150万円を越えた場合

年収が150万円を超えた場合には、配偶者特別控除の金額が最大の38万円から徐々に減っていってしまいます。

世帯主が会社で年末調整を行う際に、配偶者の年収を申請することで手続きをすることができますが、間に合わなければ確定申告をする必要があるため、気を付けましょう。

まとめ

本記事では、扶養ない控除を受けることが出来る上限や扶養内で働く事によるメリット、扶養内控除の上限を超えた場合とその対処法などについて徹底解説しました。

お金は人生において必要不可欠なものであり、お金の勉強をしていなければ気付かないうちに損をしている可能性もあるため、知識を身に付けておきましょう。

主婦の方であれば、夫の収入によってもどのくらい稼げば良いのか変わってくるため、夫婦で話し合いながら最も良い収入を稼ぐようにして下さい。

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