産休と育休の違いとは?それぞれの期間や違いを解説

昨今の日本では、女性の社会進出・より良い男女平等の社会を目指す流れが強まっています。
それにともない、積極的な育児休暇や産休を取れるように企業も力を入れ始めました。

特に育休に関しては、国が男性への育児休業義務化を推進しています。
もはや、育休は性別関係なく利用できる制度であり、実際に男性の育児取得率も徐々に増加傾向を辿っているのです。
今後、より一層育児のしやすい社会となっていくことが期待されるでしょう。

さて、結婚し妊娠の末、新しい家族が増えることは大変喜ばしいことです。
その際、産休や育休を最大限に活用してわが子の成長を見届けたいと思いますよね。

また、女性によるワンオペ育児の防止に繋がり、円滑な夫婦関係を築くことにも繋がります。

ところが、いざ産休や育休を取ろうにも「育児期間や取得方法」が分からず不安に感じる方が多くいらしゃるのではないでしょうか?

本記事では、産休や育休について分かりやすく解説していきます。

本記事の内容は以下の通りです。

  • 産休と産休の違いについて
  • 産休・育休は、最大どれくらい取得できるのか?
  • 産休・育休の手当金はいくら貰える?
  • 産休・育休の給付金を受け取る条件とは?
  • 産休・育休取得の手続き
  • 産休・育休を取得する際に気を付けるポイント

これから、産休・育休の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。

また今はまだ産休・育休を利用できなくても、将来的に結婚や出産を考えている方もチェックしておくと良いでしょう。

産休・育休を理解し、充実した子育てライフを目指しましょう。

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産休・育休からの職場復帰に必要なこと

産休と育休の違いについて

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産休と育休には、明確な違いがあります。

産休とは、女性だけが取得できる制度。
育休とは、男女共に取得できる制度です。

また、育休は男女問わず取得できるので、給付金も男女ともに取得することができます。

ここからは、産休・育休についてさらに詳しく確認していきましょう。

産休とは?

産休とは、出産を控えた女性が健やかな出産や育児を行えるように労働基準法65条で定められた「産前産後休業制度」のことです。

正社員やパート、派遣社員やアルバイトなど、どのような雇用形態でも取得することが可能です。

また、産休には以下2つの制度が定められています。

  1. 産前休業→出産に向けて準備する期間を確保する休業制度(任意取得)
  2. 産後休業→出産後の体力回復を目的とした休業制度(取得は義務づけられている)

産前休業の取得は任意取得ですが、産後休業は必ず取得するように義務付けられています。

出産は、身体に大きな負荷がかかるので安静にする必要があるからです。
また、産後休業中に仕事復帰をしたい方もいるかもしれません。

ですが、6週間の休業後に医師からの就業許可が必要となることを覚えておきましょう。

育休とは?

育休とは、子育てのために仕事を休業することができる制度です。

産休は出産する女性だけが取得できる制度ですが、育休は男性と取得することが可能です。

ですが、育休には男女ともに一定の条件をクリアしないと取得することができません。

育休を取得するために必要な3つの条件は以下の通りです。

  • 1年以上、同じ勤務先にいること
  • 子供の1歳の誕生日が過ぎても、同じ勤務先で働く意思があること
  • 子供が2歳となる前々日までに、雇用契約満了や雇用契約が更新されないことが定かではないこと

産休は出産を控える女性なら、誰でも取得が可能でした。

しかし、育児休暇は上記のように同じ会社に1年以上勤務し、なおかつ今度も勤務の意思や労働契約の継続が確定していなければ取得が出来ません。

正社員なら育休を取得しやすいですが、契約社員や派遣社員は雇用契約の関係上、育休が取りづらいという問題点があります。

育休取得を、契約の打ち切りが理由で拒否されてしまう場合もあるので、事前に勤務先の会社と話し合うことをオススメします。

産休と育休は、最大どれくらい休むことができるのか?

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産休と育休では、最大限休める期間に違いがあります。

休息期間を理解しておきましょう。

産休の休息期間

産休のは、「産前休業」と「産後休業」があると、お伝えしました。

産休の期間は、産後休業と産後休業によっても違ってきます。

産前休業の休息期間

産前休業は、「出産予定日の6週間前」から休息期間取得が可能となります。

産前休業の取得は任意となっているので、必要ないと判断される方は取らなくてもかまいません。

また、「出産後8週間が経過しないと就業させてはならない」と定められています。

ですが、人によっては早産リスクの高い多胎児(双子や三つ子)を妊娠されるケースがあります。
その場合は、出産予定日の14週前からの取得が可能です。
多胎児の出産は、従来の出産よりも母親の身体に大きな負担を与えます。
ムリをせず、早めに産前休業を取得し、身体を労りましょう。

また、妊娠経過が良好な方で少しでも仕事を続けたい方もいらっしゃると思います。

実は、産前休業は「妊娠34週を過ぎていればお好きなタイミングで取得が可能」です。
どうしても、ギリギリまで仕事をしたい方はご自身の体調をみながら、産前休業のタイミングを決めると良いでしょう。

いずれにせよ、産前休業は母子ともに健康であることを目的とした制度です。
母子が健康であるように、適切なタイミングで取得を目指しましょう。

産後休業の休息期間

産後休業は「出産翌日から8週間」で取得可能です。
産前休業は任意取得でしたが、「産後休業は必ず取得」することが義務付けられています。

例え、仕事に早く復帰したいと考えていても「産後42日」までは就業が禁止されています。

出産後の身体は体力の消耗や大きな負荷がかかっています。
回復にはしっかりと休養を取る必要があるので、出産した方の安全を考慮しての制度なのです。

ですから、産後休業中はご自身の身体の回復に努めましょう。

育児休業の期間

育休は、「お子さんが1歳になるまでの間」の取得が可能です。
また、近年問題になっている待機保育の問題で保育園への入所が出来ない場合があります。

その場合は、再度申請を行うことで最大2歳までの育休延長が可能となります。

産休・育休の手当金はどれくらい貰えるの?

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産休の手当金

産休中は、基本的に勤務する会社や雇用保険からの給与が発生しません。
産休を取得しても、金銭的な援助が無いのは不安になってしまいますよね。

実は、産休中でも勤務先の健康保険から以下2つの条件を満たしていれば「出産手当金」を受け取ることが可能です。

  1. 勤務先の健康保険に1年以上の加入を継続している
  2. 産休中に給与の支払いが発生していないこと

産休は、どんな雇用形態でも出産を控えた女性なら取得することが出来ます。

しかし、上記の条件を満たしていなければ出産手当金を受け取ることは出来ません。

また、国民健康保険に加入しているフリーターやアルバイトの方も。出産手当金を受け取れないことは注意しておきましょう。

さて、出産手当金で貰える金額ですが「標準報酬日額の2/3」が支給されます。

標準報酬日額とは、月給を1ヶ月の日数で割った数です。

例えば、月に20万貰っている方で計算してみましょう。

  1. 月給20万÷31日=6451円
  2. 6451円x2/3=4302円

4302円が標準報酬日額となり、産休中は1日につき4302円が支給されます。

産休期間中に、いくら支給されるか試算しておくと安心ですよ。

育休の手当金

育児休業中は、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。

産休手当金のように、育児休業給付金も以下4つの取得条件を満たさなければなりません。

  1. 同じ勤務先に、1年以上勤務している
  2. 勤務先の雇用保険に1年以上加入している
  3. 育児休業後も、同じ勤務先で働く意思がある
  4. 育児休業中に、給与の8割以上が支払われていない

以上の4つの条件を満たしていれば、育児休業給付金の取得条件が達成されます。
育児休業給付金は、取得開始月から6ヶ月間は月給の67%が支給されます。

ですが、7ヶ月目から12ヶ月までは月給の50%に支給額が減ることを覚えておきましょう。
また、育休を延長した場合は延長期間中の支給額も50%になります。

産休・育休取得時に気を付けておくべき2つのポイント

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産休・育休は出産を控える方や育児をされる方が積極的に活用するべき制度です。
少子化が進む日本において、子育てのしやすさは人口減少の解決にも繋がるからです。

ですが、産休・育休を取得する際に気をつけなればならない点もあります。

ここからは、産休・育休取得時に気を付けるべき2つもポイントを確認していきましょう。

1、業務の引継ぎをしっかりしておく

産休・育休を取得するということは、勤務先で欠員が出るということです。
あなたの業務を、他のだれかが代わりにやることになります。

後任の方にしっかりと業務を受け継がないと、後任の方の業務に支障をきたしてしまうことになるでしょう。
産休・育休後に会社へ復帰した際に、人間関係が悪くなってしまいトラブルの原因になる可能性が出てしまいます。

産休・育休中や復帰後にトラブルが内容に、後任の方に業務をしっかりと受け継いでおきましょう。

2、会社への連絡をしっかりしておく

産休・育休が取得できれば安心しますよね。

出産や育児に専念できるので、つい勤務先への連絡が疎かになりがちです。
ですが、会社への「出産報告や復帰の予定」などは、キチンと伝えておきましょう。

会社側も、休暇中の人のことを考えて業務を回しています。
しっかりと連絡をすることで、会社が円滑に職場復帰が出来るように準備をしてくれるでしょう。

職場復帰を円滑にするためにも、会社への連絡はしっかりとしておきましょう。

育休・産休の取得手続き

産休・育休を取得するのに必要な手続きの方法をお伝えしていきます。

産休・育休取得の参考にしてくださいね。

産休の取得方法

産休取得には、「産前休業」と「産後休業」があるとお伝えしてきました。
産後休業は取得義務があるので、申請が必要なのは「産前休業」となります。

通常、産前休業と産後休業は同時申請をします。

産休取得には、勤務先の会社へ「産前産後休業届の提出」をする必要があります。
提出書類は、勤務する会社によって内容が異なるので社内部署に確認しておきましょう。

また、産休中に健康保険・厚生年金を免除してもらうことを忘れてはいけません。
免除してもらうには、「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書」が必要になります。

書類は勤務先の会社で受け取れますが、万が一受け取れなかった場合は日本年金機構のホームページからダウンロードすることができますよ。

申請に必要な書類は忘れずに提出しましょう。

育休の取得方法

育休を取得するには、「育児休業届」と「受給資格確認書」という2つの種類を提出する必要があります。

申請方法は、「会社に手続きしてもらう」「会社が用意した書類に記入し本人が手続きをする」という2つの方法があります。

どちらの方法で提出するかは、事前に会社と確認しておきましょう。
また、産休と同じく育休においても健康保険や厚生年金を免除してもらうことを忘れてはいけません。

「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申請書」の提出をしておきましょう。

必要な書類は、会社で受け取るか日本年金機構のホームページからダウンロードしましょう。

まとめ

本記事の内容をまとめます。

本記事の内容は以下の通りでした。

  • 産休とは、出産を控えた女性だけが取得可能な休業制度
  • 育休とは、男女問わず育児のために取得可能な休業制度
  • 産休には、産前休業と産後休業がある
  • 産前休業は、出産予定日の6週間前から申請が可能
  • 産後休業は、出産翌日から8週間の取得が可能
  • 育休は、子供が一歳になるまで(最大2歳までの延長も可能)
  • 産休中は、一日あたり「標準報酬日額の2/3」が支給される
  • 育休中は、取得開始月から6ヶ月間は月給の67%・7ヶ月目~12ヶ月までは月給の50%が支給される。
  • 産休・育休時を取る際は、業務の引継ぎと休養中に会社への連絡をしっかりする
  • 産休を取得するには、勤務先の会社へ「産前産後休業届」の提出が必要
  • 育休を取得するには、「育児休業届」と「受給資格確認書」の提出が必要

本記事では、産休・育休についてお伝えしてきました。

産休・育休を適切に取得することで、安心して子育てをすることが出来ます。
また、休養後のスムーズな職場復帰にも繋がるでしょう。

さらに、給付金の申請について把握しておくことは、休養中の生活不安の軽減にもなります。

正しい知識を身に着けて、不自由のない育児を目指してくださいね。

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