会社で働いているなら、昇進を目指して業務遂行を頑張っている方もいるでしょう。
会社で昇進して役員になり、重要なポストに付くことができるなら、仕事のやりがいもさらに増し、モチベーションの向上にもなります。
会社で働いている以上、貢献したい気持ちを持つことは良いことですが、会社の役員になる際はメリットとデメリットについて知っておくことが大事です。
役員になることはメリットだけでは無く、デメリットもあるため、内容を熟考して自分は役員に向いているのか確認しましょう。
企業には様々な役職がありますが、その中で「役員」と「執行役員」の違いを理解できる方はどのくらいいるでしょうか? 「役員」と「執行役員」は似ているようで、それぞれの役割は全く違います。 そこで本記事では、企業の役員と執行役員の違[…]
会社の役員とはどんな人たち?
会社の役員と聞くと重要なポストに付いている人を思い浮かべるはずです。
ただ、実際にどのような役員があるのか詳しくない人もいるでしょう。会社の役員には取締役や監査役など、いろいろな役職があります。
会社の役員で1番の役員は社長や最高経営責任者と言われる方たちです。
役員に任命されている人たちは会社の中だけで無く法務局で登記する必要があり、登記簿に名前が記載されます。また、役員は従業員と違い経営者と見られるため、労働者の扱いにはなりません。
そのため、従業員から会社の役員になるためには1度退職して従業員の立場を辞めて役員になる工程が必要です。
会社の従業員から役員になることはありますが、立場に違いがあるため覚えておきましょう。
会社の役員のメリットとは
従業員から会社役員になることはありますが、その際にどのようなメリットがあるのか知っておきたい人もいるでしょう。
会社役員になるメリットはいくつかあります。
以下のメリットを確認しておきましょう。
定年退職がない
会社の役員は定年退職がありません。会社の従業員の場合は一定の年齢になれば退職をすすめられます。
会社によって定年退職の年齢に違いはありますが、大体60~65歳になれば定年退職となり、仕事を辞める必要が出てきます。
従業員の中では65歳以上になっても会社側から引き留められることもありますが、正社員としての契約内容に変更が生じることがあり、今までの待遇とは異なる可能性があります。
しかし、会社の役員の場合は定年がないので年齢がどれだけ高くなっても会社側から必要とされているなら退職する必要はありません。
自分がまだ役員として会社に貢献したいなら引き続き会社に残ることができ、契約内容も同じなので給与の変更なども心配はいりません。
60歳以降も会社で働きたい人は役員は大きな魅力となるでしょう。
会社内で大きな権限が与えられる
会社の役員は従業員と違い大きな権限が与えられます。
例えば、従業員の場合は上の立場の人に聞き従う必要があり、自分が良いアイデアやスキルを持っていたとしても上司の方がOKしてくれないなら、その提案は却下されてしまいます。
従業員の場合は会社の労働者という扱いなので、権限はなく上司の言うことを聞いて働く必要があります。
しかし、会社の役員になれば、それぞれに経営の権限が与えられており、その範囲内で自分の裁量を活用することができます。
例えば、代表取締役なら会社の契約に携わり、最終的に契約の有無を行える決定権が与えられています。
また、会計参与であれば会計帳簿の閲覧をすることができ、会社の資金の流れを確認することができ、監査役は経営が正常に行われているのか確認できる権限があります。
役員になれば会社の重要な仕事を行う権限が与えられます。
経営参加を行える
会社の役員になれば会社の経営に関して重要な決定や運営に携わることができます。
従業員の場合は会社の運営に従うのみであり、当然会社の経営や方針に関して何か指摘したり意見を述べたりすることができません。
しかし、会社の役員に昇進すれば経営の役員会議に参加することができ、その会議で今後の会社の方針や運営に関して意見を述べることができます。
自分の意見を述べたとしても、会社側に採用されるとは限りませんが、会社の方針の中枢にいることで会社の経営に貢献できるのは大きなやりがいとなります。
他の経営者の意見や考え方を聞く機会ともなるので、自分の視野を広げることも可能です。
会社の経営会議に携わるのはなかなかできないことなのでメリットと言えるでしょう。
役員報酬などで収入も大幅にアップの期待がある
会社の役員になれば給与の大幅増に期待することができ、従業員の人よりも大きな収入アップとなります。
従業員の報酬は成果に応じてアップしていきますが、それでも収入が大きく増えることはなかなかありません。
平成30年度の統計調査では民間の平均年収は441万ほどです。
しかし、会社の役員になれば平均605万円ほどであり、資本金が大きな会社であればさらに多くの収入を得ることができます。
役員になれば年収が1,000万円を超えることもあるため、役員になれば収入に関して不満を感じることはないでしょう。
しかも、役員であれば定年退職がないため、働いている期間はずっと高額な報酬を得られると言う点で大きなメリットとなります。
会社役員のデメリットとは何か?
会社の役員にはメリットが大きいので従業員から役員に昇進することを目標にする人は多いでしょう。
しかし、従業員から役員になることはメリットばかりではなく、デメリットもあります。会社の役員にはどのようなデメリットがあるのか内容を紹介しましょう。
雇用保険や火災保険に加入できない
役員は従業員ではないため雇用保険などに加入することができません。
雇用保険には失業保険などがかけられており、従業員の場合、万が一会社の倒産などで失業してしまったなら、失業保険の給付からお金をもらうことができます。
雇用保険がかけられていることで従業員は万が一のときも安心感を抱けます。
しかし、会社の役員は雇用保険などに加入することができないため、失業した際も給付金をもらうことはできず、労災保険によるケガや病気の補償も受けることができません。
ただ、社会保険に加入することは可能です。
役員は報酬の面でメリットが従業員よりも大きいですが、保険の待遇に関しては何も得ることができないので注意が必要です。
労働基準法は適用外
会社の役員は労働基準法も適用されません。
従業員であれば労働基準法があるため、仕事の労働時間や休暇などが保護されています。
例えば、労働基準法であれば1週間は40時間までが規定となっており、それ以上の時間は残業となるため、時間外手当を給付する必要があります。
また有給休暇も勤務時間や年数によって従業員に与えて消費させることも求められます。
労働基準法から逸脱するなら、会社は罰則を受けることになるため、従業員は労働の面で保護を受けることが可能です。しかし会社の役員には労働基準法が適用されません。
会社の役員は経営者の立場になるため、従業員のように有給休暇の付与も無ければ、残業でによる手当てももらえません。会社側から休暇などについて配慮されることもありますが、思うように休みを得られない場合もあります。
経営状況によっては労働時間が多くなることも予想されるため、仕事で疲弊疲してしまうこともあると考えられます。
ローンなどの審査は会社の経営状態に左右される
会社の役員はローンを組む際も、大きなデメリットになることがあります。
従業員の場合は会社に勤務している労働者としての立場なので、ローンを組む際に審査が通りやすいです。
会社の従業員は「収入に安定感がある」と思われるため、家や車などの購入で大きなお金が必要になったときに銀行でローンを組むときも、勤務年数が長いならローンを組みやすいです。
ただ、会社の役員はローンを組むとき会社の経営状態によりローンが組みにくくなることがあります。
会社の経営が赤字であれば銀行はローンを組んでくれないことがあり、設立して年数が経っていない会社であれば、ローン審査の時点で落ちてしまうこともあります。
さらに、役員はローンを組むときに決算書の提出も求められるため、審査のために準備する資料も多いです。
従業員の場合は会社の経営状態は考慮されないため、会社が赤字でも審査に通ることが可能ですが、役員は経営状態が影響するため、ローンが思うように組めず悩んでしまうことも考えられます。
経営状態によっては解雇の責任を負う
会社の役員は経営状態によっては解雇の責任を負うこともあります。
役員は会社の経営に携わっているため自分の行動が会社に大きな影響を与えます。
もし、会社経営の中で自分の決定が不利益を被ることになれば責任を問われることになり、株主総会などで問題が大きく取り上げられるなら、解雇されることもあります。
さらに、会社が第三者に不利益を与えたときは、損害賠償を支払うことがありますが、その責任を負う可能性も生じます。
また、万が一倒産をしたときに連帯保証人になっているなら、債務責任も生じます。
このように会社の役員は経営に携わることができる分、責任もいろいろ求められるため、ストレスなどの精神的負担も大きいことが予想されます。
従業員の場合も問題行動があった際は責任を取る必要がありますが、役員の場合は負債や解雇などの処遇になるため、従業員よりも大きな責任が付いてきます。
そのため、かなり大きな責任を背負うことになると言えるでしょう。
会社の役員がおすすめな人
会社の役員になることはメリットだけでなくデメリットもあります。
そのため、役員への昇進が持ちかけられたとしても、自分の状況や経営などを考慮して決定する必要があります。
どのような人の場合、役員への昇進を受け入れるべきなのかおすすめの人を紹介します。
経営能力やスキルに自信がある人
役員への昇進を持ちかけられるということは、上層部の方たちは自分の能力を評価してくれていることになります。
ただ、本当に役員となって経営を行うことができるのかは、自分の能力を再分析してみることが大事です。
役員になれば経営に携わることができますが、その分責任も大きくなり、自分の決定や方針によって会社の業績が大きく変わります。
会社の業務による方針決定と経営の方針決定には違いがあります。
従業員の場合は管理能力などのスキルで十分でも、役員であれば経営能力として経済の情勢の見極めや成果を上げるためのロジックなど、高いスキルが必要です。
自己分析して役員として業務を果たせる自信があるなら昇進を受け入れ、自信がないならお断りをするのがいいでしょう。
自分を極めたい人
役員は自分を極めたい人もおすすめです。
役員になれば従業員の時の業務とは大きく変わるため、また新たな知識を学習しなくてはいけません。
覚えることも増えるため、あまり学習に興味がない人が役員になるとストレスのみが増えてしまうことも考えられます。
経営についての知識を取り入れるなら学習意欲があったり自分の可能性を極めたい人の方が楽しく役員の仕事をすることができるため、自分に向上心があるのか自己分析して役員の選択をするのがいいでしょう。
役員のメリットとデメリットのまとめ
会社の役員にはメリットだけでなくデメリットもあります。
メリットとデメリットを考えて自分は役員として業務を全うできるのか分析することが大事です。
経営について自信があるなら、ぜひ役員に昇進して業務を行うようにしてください。