【その解雇、違法かも!?】リストラと不当解雇は何が違う?

現在、コロナウイルスで経営状態が悪化しているという悩みを抱えている企業は多いはずです。

現状だと何かしらの経費を削減しなければいけないため、人件費を削減したいと考えている企業も少なくないでしょう。

人件費を削減するためには複数の方法がありますが、その中の1つにリストラという方法があります。
しかし、リストラは不当解雇という違法行為になってしまう可能性があるので注意が必要です。

そこで本記事では、リストラと不当解雇の違いや、進める上でのリスク・注意点について解説をしました。
これから人件費を削減するためにリストラを決行しようと考えている企業は、是非最後までご覧ください!

こちらもオススメ

2019年から始まった新型コロナウイルス感染拡大に伴い、企業のリストラが止まりません。東京商工リサーチの調査によると、上場企業の希望退職者が2020年では93社で1万8635人でした。 ところが、2021年は50社で1万人を超えてい[…]

会社からリストラ宣告を受けた時の対処法

そもそもリストラとは?

restructuring-dismissal-difference_1

リストラとは、英語で「restructuring」という意味になります。

現在の日本で「リストラ」という単語は、企業の人材が解雇されるという意味だと勘違いしている人も多いでしょう。

しかしながら、リストラの正式な意味は、企業が周囲の環境から事業を再構築して、改善していくという意味です。

改善する内容は、人材の整理だけでなく、労働環境や事業内容などが挙げられます。

3種類の「解雇」

restructuring-dismissal-difference_2

リストラは人材の解雇という意味で利用されることが多いですが、現在の日本では法律で解雇の種類が3つあります。

普通解雇

普通解雇とは、企業が定めた就業規則に違反した場合に行われる解雇です。

  • 健康中の都合で就業が困難になった
  • 企業が期待する能力が不足している
  • 欠勤が多いなど勤務不良
  • 業務命令に違反した

主に上記のような理由で解雇された場合が、普通解雇として扱われます。

整理解雇

整理解雇とは、個人ではなく企業の都合で行われる解雇になります。

基本的には、経営状態の悪化で人件費を削減するために行われる解雇です。

日本で使われている「リストラ」という単語は、整理解雇の意味になります。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、従業員が重大な契約違反などで企業から解雇された際に使われる言葉になります。

基本的には罰則的な意味で解雇された場合は、懲戒解雇として扱われるようです。

もし懲戒解雇になってしまう場合は、訴訟や退職金の未払いなども発生する可能性があります。

リストラという行為は違法?

restructuring-dismissal-difference_3

リストラは企業側の違法行為だと思っている人もいますが、厳密には違法行為ではありません。

そのため、企業が従業員に対してリストラするという行為は、普通に起きる可能性があります。

しかしながら、法律では企業が従業員を解雇するのが難しくなるように定められているのが現状です。また、企業がリストラを行ったとしても、従業員は退職する義務がありません。

企業はリストラを行うことができますが、法律上のリスクが大きいだけでなく、従業員が拒否するケースもあると覚えておきましょう。

企業がリストラする際のリスクって何?

restructuring-dismissal-difference_4

それでは、企業が従業員をリストラすることで、どのようなリスクがあるのかについて解説していきます。

印象が悪くなる

リストラを実施したというニュースを見て、良い印象を抱く人はほとんどいないはずです。むしろ、悪い印象を持つ人も多いでしょう。

企業の印象が悪くなると、業績だけでなく採用活動などでも影響が出る可能性があります。

特に従業員の高齢化が進んでいる企業がリストラを行うと、若手を採用するのがさらに難しくなる可能性が高いです。

企業のイメージを守るためにも、リストラの意思決定は慎重に行うようにしましょう。

リストラできない場合もある

企業がリストラを実施しても、期待していた通りの結果が出ない可能性があります。

よくある事例ですが、企業がリストラを通知したにもかかわらず、納得できない従業員が弁護士などを通して裁判するケースも少なくありません。また、そもそもリストラを拒否する権限が従業員にはあるので、全く合意されないケースもあります。

リストラを通知しても絶対に期待通りの結果が出る保証はなく、むしろ従業員から訴訟されるなどのリスクもあるので、しっかりと検討する必要があると言えるでしょう。

社員が疲弊する

リストラによって従業員が解雇されることで、その人たちの仕事量が会社に残っている人達の負担になります。

社員が疲弊することで士気が下がるだけでなく、最悪の場合は自主退職などで事業に影響が出るほどの人員が退職する可能性も0ではありません。

残ってくれる社員の負担が大きくならないようにリストラを行うことで、事業を継続させる上で大切なポイントになります。

リストラを行う上での注意点

restructuring-dismissal-difference_5

今までの記事を読んでも、リストラをしたいと考えている企業も存在するはずです。

そこで、リストラを行う際の注意点について解説していきます。

強制しない

リストラを強制するのは、絶対に辞めましょう。

上司が従業員に対して退職を強制的に促したことで、最終的には裁判に発展して会社側が罰金になったケースもあります。

また、罰金以上に会社の信用問題に大きく関わるため、強制して従業員を辞めさせるのはリスクが高いです。

会社のイメージを守るためにも、従業員に無理に退職を促す行為は絶対に辞めましょう。

新規採用を辞める

リストラしたにもかかわらず、新規採用をしていると不当解雇と判断される可能性があります。

不当解雇だという判断をされると、従業員をリストラすることができません。それだけでなく、損害賠償が発生するケースもあります。

会社の業績が原因でリストラを行っているのであれば、新規採用を行うのは絶対に辞めましょう。裁判になってしまうと、不利になる可能性が高いです。

役員報酬を変える

役員報酬を変えていないにもかかわらず、人件費を削減するためにリストラを行っている場合も、不当解雇と判断されるケースがあります。

基本的にリストラが正当化されるためには、経営状況が悪化していて、人件費を削減しなければ事業が継続できないなどという理由が必要です。

そのため、事業が継続できるのか怪しいにもかかわらず、役員報酬が変わっていない場合は、リストラをするほどではないと判断されてしまう可能性があります。

本当に人件費削減が必要になるほど経営状況が悪化しているのであれば、役員報酬を変えるなど、できる限りの経費削減は行っておきましょう。

しっかり解雇理由を説明する

従業員に具体的な解雇理由を伝えず一方的にリストラする企業もありますが、後に裁判などに発展すると不当解雇と判断されてしまう可能性があります。

従業員をリストラするのであれば、しっかりと理由を伝えましょう。

従業員側からしても、何も分からないで解雇されるより、理由が分かっていた方が良い印象を持つはずです。

できるだけ早く解雇を伝える

急に解雇通知を渡す企業もあるようですが、できるだけ早く伝えるようにして下さい。

少しでも早く伝えることで、従業員は新しい職場を探せる余裕を作ることができます。

また、法律上では解雇日より30日前に通達するか、30日以上の平均賃金を支払うことが法律で定められているため、早く伝えておく方が良いでしょう。

リストラすると判断したタイミングで、対象となる従業員には伝えるようにしましょう。

リストラする際のポイント

最後に、リストラする際のポイントについて解説していきます。

これから紹介するポイントを理解して、トラブルが起きないようにリストラを行いましょう。

早期退職を募る

まずは早期退職を募って、自発的に退職したいと考えている従業員を集めましょう。

自主的に退職してくれるのであれば、リストラにはならないので、不当解雇などのトラブルに発展する可能性はありません。

しかしながら、何かしらのメリットがなければ、従業員側は早期退職する価値を見出せません。

基本的には、早期退職者には退職金に上乗せの金銭を支給するなどが必要になります。

また、早期退職で若手が退職してベテランだけが残るのも将来的に良くないので、年齢制限するなどがポイントです。例えば45歳以上の従業員を対象にするなどがおすすめになります。

まずは派遣・契約社員を削減

正社員をリストラするのは難しいですが、派遣・契約社員であれば、そこまで難しくありません。

派遣・契約社員だけで、人件費を十分に削減できる企業もあるはずです。

まずは派遣・契約社員の人員を整理して、それでも人件費の削減が必要であれば、正社員のリストラを検討しましょう。

従業員や組合と話し合い

いきなり会社側からリストラを通達するとトラブルに発展する可能性が極めて高いので、従業員や組合と話し合いすることをおすすめします。

従業員や組合と話し合いすることで、しっかりとお互いの意見を交換した状態でリストラを行うことが可能です。

リストラで発生する費用を把握する

人件費削減のためにリストラを行ったとしても、リストラで一定の出費が発生するので注意して下さい。

例えばリストラで従業員に追加で費用を払わなければならなくなったり、早期退職を募る際に従業員へ退職金の支払いなどが必要になります。

しっかりとリストラに発生する費用を把握して、費用対効果が良いのか検討しましょう。

弁護士に相談する

リストラは従業員とトラブルになる可能性が高く、最悪の場合は裁判に発展する可能性もあります。

そのため、法律上で問題がないようにリストラを進めるために、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士を入れることで、法律上の問題などを把握しながらリストラを進めることが可能です。

まとめ

本記事では、リストラと不当解雇について解説しました。

リストラは不当解雇と判断されるケースも多く、裁判で損害賠償を請求されることも少なくありません。

しかしながら、経営状況を考慮すると、どうしても人件費を削減しなければいけないケースもあるでしょう。

もしリストラをするのであれば、従業員にできる限りの配慮を行うことで、トラブルに発展する可能性を抑えることが可能です。

restructuring-dismissal-difference
最新情報をチェックしよう!