今更聞けない!「ハローワーク」ってどんなところ?

「ハローワーク」というと、「新卒や転職に迷ったときに就職のために求人を探しに行く」「失業保険の給付手続きをしてくれる場所」そんなふうに思っている人が多いと思います。
でも、ハローワークは「働く意欲のある人のために支援を行う場所」なので、仕事を探したい人にとって、ハローワークの利用方法はもっとたくさんあるのです。
そこで、この記事ではハローワークのお役立ち情報を紹介していきましょう。

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1.ハローワークってどういうところ?

通称「ハローワーク」は、「公共職業安定所」という名称の国のサービスです。
そして、6つの部門に分れています。つまり、6種類の働く意欲のある人のためのサービスを提供しているということですね。

  1. 雇用保険課
  2. 職業相談部門
  3. 職業訓練部門
  4. 専門援助部門
  5. 事業所部門
  6. 生活支援部門

では順次どういうサービスを提供しているのかを解説していきますね。

2.雇用保険課~失業したときに真っ先に頼れる場所~

管轄内の全ての企業の雇用保険の得喪手続きと雇用保険料の徴収を行っている部門です。
また、管轄内に住む人が失業したときに、失業保険給付の手続きをしてくれる部署です。
ただし、仕事を辞めた人が誰でも失業保険がもらえるかどうか、というと、受給資格というものがあって、その資格を満たしていないと失業保険をもらうことができません。
この部署は、その失業保険の受給資格や受給要件を確認する部署でもあります。
受給資格や受給要件については、以下の厚生労働省のQ&Aに詳しく書いてありますので、そこを参考にして下さいね。

Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省

ちなみに短時間労働者だったり、週20時間以上のパートだったり、フル勤務でも欠勤が多かったり、1年と間を空けずに次々に転職していった場合でも受給要件を満たすこともありますので、受給要件の詳しい内容については上記「Q&A」を見てみましょう。
それでもよくわからない方は、退職時に支給された離職票を持ってハローワークに相談に出掛けてみましょう。
受給要件を満たした受給資格者は、失業している期間、ハローワークが失業していたとみなす「失業の認定」を受けた日数を4週間ごとの失業の認定日に失業保険(標準報酬から算定された賃金日額)をもらいにハローワークに訪れる必要があります。
ただし、賃金日額といってもお給料の日額よりはずっと少ないのが残念です。
どのくらい少ないかは、下記呼応性労働省の資料を参考にして下さい。

雇用保険の基本手当日額が変更になります|厚生労働省都道府県労働局・ハローワーク(PDF)

失業保険は、失業と認定された日数分、最低でも90日分以上の失業保険をもらえます。
再就職したら、あるいは失業した日から1年経ってしまったら、まだ受給資格のある失業保険を全額もらっていなくても、そこで失業保険は打ち切られます。
失業保険を多く残して再就職したら、お祝いとして再就職一時金をもらえることもあります。
このような、失業保険について失業の申し込みをした人の受給資格の審査をしたり、失業の認定をして、失業保険を給付したりするサービスをしてくれる部署が「雇用保険課」です。

3.職業相談部門~失業したら再出発のためにまず行くところ~

仕事を探している人なら、誰でも求人情報の提供や相談を受けることができます。
そして、ハローワークに掲載してある求人は、応募する際にハローワークが発行する「照会状」が必要で、その紹介状はハローワークに出向いて相談員に発行してもらわないといけません。
ちょっと面倒ですね。

ハローワークでは、希望する求人の条件を相談員に伝えて、仕事を探してもらうこともできますが、自分でハローワークのHPにアクセスして希望する求人を探して、その求人をピンポイントに相談員に紹介してもらうことも可能です。

ハローワークにも検索するためのパソコンが複数台置いてありますが、自分のスマホやパソコンからハローワークのHPにアクセスできるので、いつでも何処でもスマホさえあれば求人を検索できるのです。自分に合った求人が見つかったら、その求人番号を控えて、ハローワークに出向いて求人番号を相談員に伝えて紹介状を発行してもらいましょう。

ハローワークの相談員は、あなたが応募したい会社に電話をしてまだ募集しているのか、その他あなたが質問したい事項があれば、可能な範囲で上手に会社に質問してくれます。
そして、応募する意思が固まれば、あなたの代わりに会社の採用担当者にその場で電話をして、応募したい求職者がいることを伝え、書類選考を申し込んだり、面接の日程を決めてくれたりします。
また、ハローワーク内の情報だけですが、現在の採用状況(応募人数や面接に至った人数等)をわかる範囲で教えてくれたりもします。
また、就職困難者には、決まった担当者がついて就職できるまで一貫してたくさんのアドバイスをしてくれます。必要とあらば、ハローワーク主催の必要なセミナー(履歴書や職務経歴書の書き方、模擬面接等々)の斡旋も行ってくれます。

4.職業訓練部門~就職のため、転職のために、よりスキルを高める場所~

職業訓練については、ハローワークではなく全国にある職業訓練施設(通称:ポリテクセンター)で行われます。
ハローワークとポリテクセンターは連携しているので、あなたの就職に必要な訓練が始まるタイミングが一致すれば、あなたに適した訓練を斡旋してくれます。
ただし、ポリテクセンターは有料ですので、失業手当受給資格のある人には、無料で失業給付を受けながら受講できます。
受給日数よりも訓練期間が長いのであれば、受給期間が延長されます。一方、失業給付受給資格者でない方は、有料で参加することになります。
ただし、求職者支援制度(PDF)もありますので活用しましょう。
ポリテクセンターには、事務系・技能系両方あって、さまざまな訓練があります。3ヶ月と短期の訓練から、2年という長期の訓練もあります。

また、民間機関に協力を得た認定訓練期間での職業訓練もあります。
これらの職業訓練は、あなたのスキルを上げて、より良い就職をする事ができます。
求職者支援制度は、費用についても応援していますので、自分の投資のためにも、ハローワークの情報を役立てましょう。

5.専門援助部門~なかなか就職できない人のお助けマンがいる場所~

仕事を探している人は、年齢、環境、条件等、さまざまな状況下で就職活動をしています。
中でも、ウィズコロナの特殊な状況下における就職は、新卒でも困難な状況となっています。
そんな時代ですから、とくに就職状況が困難な状況下にある人たちに絞って、ハローワークは就職支援も行っているのです。

引用:ハローワークの活用と支援方法について~平成27年度就労準備支援事業従事者養成研修資料~|東京労働局(PDF)

上記のような特設部門においては、キャリアコンサルタントのような、就職支援について専門知識を持った人が、就職困難者ひとりひとりに専門アドバイザーがついてくれます。
これらの特設部署は、ハローワーク内に設けられる地域もあれば、主要都市のように豊富な予算がある地域では、ハローワークの出張所として、別の場所で特設部門を運営している地域もあります。

それぞれの年齢層、シングルマザー、外国人、障害を持った人・・・etc.各々の就職困難者に特化した、さまざまな対策が取られています。
例えば、若者ハローワークでは、企業だけで無く高校や大学とも連携を取ってくれます。
マザーズハローワークでは、子供と一緒に訪れても大丈夫なようにキッズコーナーがあったり、就職したときの保育園・幼稚園・学童等の情報も取りそろえています。

障害者の求職については、どのような障害があって、どういう仕事なら就くことができるのか、十分なヒアリングを行ってくれます。
これらの求職者の特性に即して、個別の課題を解決すべく、専門知識を有した職員が求職者のニーズにあった仕事を斡旋できるように、ハローワークは日々努力しているのです。

6.事業所部門~就職・転職希望の良い人材を見つけるために求人を出す場所~

行政のサービスですから、求人を出す企業も、求職者双方とも無料です。
ハローワークは転職エージェントのような企業のために即戦力になる人材を厳選してくれるサービスではなく、仕事を探している人がより多くの求職情報を得るための、どちらかというと求職者のためのサービスです。
そのため、企業の要望よりも、求職者の希望が優先する事もあり得ます。
そういう状況ですから、ハローワークの求人には規模の小さな中小企業の求人が集まりやすい環境にあります。

中には、「ブラック企業」が紛れ込んでいることも否めません。
ハローワークは、転職エージェントのように就業後のアフターフォローを行う事はしませんので、離職率が高い企業だという情報をデータとして保管していても、その情報を相談者が共有する機会が無いというのが現状でしょう。

そんな中でも、ハローワークには、中小企業だからこそ必要な助成金制度の情報が得られます。中小企業が必要なそれらの雇用関係の助成金についての説明や受付をハローワークで行う事もできます。

7.生活支援部門~長期失業したときに生活の維持のために相談する場所~

ハローワークが直接窓口となっていたり、ハローワークと連携している行政窓口となっていたりする生活支援給付金制度がたくさんあります。

どうしてかというと、生活保護者の自立支援には働く事が一番の早道だからです。
生活保護者が自立する近道が就業なら、ハローワークと行政が連携して情報を共有すれば、一石二鳥だということです。

平成27年に政府が考えた行政とハローワークの情報共有は、生活保護者の自立支援のプロセスのためでした。
それでは以下の図を見てみましょう。

※【引用】ハローワークの活用と支援方法について~平成27年度就労準備支援事業従事者養成研修資料~厚生労働省(PDF)

一方、失業した人が就職できない背景を把握し、その就職できない課題を克服していくことがハローワークの仕事です。
上図の考え方が、生活保護者となってしまった失業者を自立させたい行政と、図らずも失業者となってしまった人の生活支援をしながら再就職できるよう支援するハローワークが力を合わせて情報を共有すれば、お互いのためになるというのが、生活支援部門の考え方です。
長期間失業していれば、その間に生活保護受給者になってしまうこともあるので、ハローワークと行政が力を合わせるのが重要だとハローワークも考えたわけです。

昨年までは、生活保護者の自立支援へのプロセスが就職でした。
しかし、ウィズコロナの時代に突入した今、仕事が激減したり、失業したりして生活困窮者になってしまう人が増加の一途を辿っています。
そこで、ハローワークと行政が情報を共有することがいっそうの急務となったといえます。
ウィズコロナの時代に突入し、国民全員の生活支援のために、国はたくさんの支援金制度を創設しました。

厚生労働省の「生活を支えるための支援のご案内」より紹介します。

・特別給付金
・子育て世帯への臨時特別給付金
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・緊急小口資金・総合支援資金
・持続化給付金
・家賃支援給付金
・日本政策金融公庫金融公庫及び沖縄公庫等による新型コロナウィルス感染症特別貸付制度
・社会保険料等の猶予
・住居確保給付金
・生活困窮者自立相談支援事業
・生活保護
・傷病手当金
・休業手当
・雇用調整助成金
・新型コロナウィルス感染症対応休業支援金
・新型コロナウィルス感染症に関する母性健康管理処置による休暇取得支援金
・両立支援等助成金(介護離職防止支援コース 新型コロナ感染症対応特例)
・公共職業訓練
・求職者支援訓練
・小学校休業等対応助成金
・小学校休業等対応支援金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業

・生活支援給付
・就労支援

※それぞれの窓口は異なっています。

まとめ

いかがでしたか?
仕事を探している人の中には、ハローワークよりも民間転職会社(転職エージェントや転職サイト)の方が便利だと思っている人も少なくありません。
そういう人にとっては、もはやハローワークは、雇用保険の資格の得喪や失業給付や職業訓練の手続きの時にしか訪れない場所になってしまっているかもしれません。
確かに、民間転職会社が職を探している登録者に無料で行う求人サービスは、さまざまなスペシャリストがきめ細やかなサービスを登録者に提供しているともいえます。
しかし、民間の転職会社とハローワークでは、本来のサービス目的が異なるのです。

民間転職会社は、有料で企業が求める人材を紹介して利益を得ています。その一貫として登録した求職者に無償で企業の求人を紹介しているのです。
一方、ハローワークの求人は、失業した人が就職して自立できるように支援するための行政サービスです。
もちろん行政サービスですから企業・求職者双方にとって無償です。

そういった理由もあるのか、ハローワークの紹介企業は、民間転職会に比べて中小・零細起業が多いのも否めませんし、求職者にとっても企業にも民間転職会社ほどきめ細やかなサービスが行き届いているとはいえないかもしれません。

しかし、家庭環境や病気等のさまざまな事情からなかなか就職できない人、生活に困っている人にとっては、何とか生活を維持できるように助けてくれる頼もしい場所であるともいえます。

ウィズコロナの時代はまだまだ続きそうです。
そんな今だからこそ、一人ひとりが自分の状況や環境に合わせ、民間転職会社とハローワークのサービスを自分のために使い分けをすることで、今よりももっと生活の安定や豊かな暮らしに繋がればと思います。

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