わたし達、地域住民の健康や衛生を支えている施設に、「保健所」と「保健センター」があります。
昨今の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、それらは無くてはならない存在となっています。
ですが、意外と保健所と保健センターについて「よくわからない」という方がおられるのではないでしょうか?
「そもそも、保健所と保健センターの違いってなんだろう?」
このような疑問がわいてきますよね。
本記事では、保健所と保健センターの違いを分かりやすく説明していきます。
本記事の内容は以下のとおりです。
- 保健所・保健センターとは何か?
- 保健所・保健センターにはどんな職員が勤務しているのか?
- 保健所・保健センターのサービス内容とはなにか?
- 保健所・保健センターの違いとは?
「保健所と保健センターの違いを知りたい」
「自分が受けたいサービスがどちらにあるのか、ちゃんと知りたい」
「お得なサービスがあるなら、活用したい」
本記事で、保健所と保健センターの役割・違いを知っていただき、活用の参考にしていただければ幸いです。
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保健所とは?
保健所とは、簡潔に言うと「公衆衛生を目的とした施設」です。
保健所は、地域保健第5条に基づき以下の定められた地区に設置されています。
- 都道府県
- 中核市
- 指定都市
- 政令指定都市
- 保健衛生行政機関(特別区)
保健所は、「医療をメインとした施設」なので専門的な技術が求められます。
ですので、多くの専門家が勤務しています。
「どんな専門家がいるんだろう?」
このような疑問がわいてくると思います。
ここからは、保健所に勤務する専門家をご紹介していきます。
保健所に勤務している職員とは?
保健所を統括する所長は、原則として「医師」が務めています。
地域保健法施行令で、そのように決められているからです。
保健所に勤務している職員は以下のとおりです。
- 医師
- 保健師
- 管理栄養士
- 診療放射線技師
- 臨床検査技師
- 歯科医師
- 医療社会事業員
- 食品衛生監視員
- 獣医師
- 薬剤師
- 精神保健福祉相談員
- 理学療法士
- 作業療法士
- 保健師
- 畜検査員
- 聴覚言語専門職
想像していた以上に、多くの専門家が勤務していることに驚かれたのではないでしょうか。
保健所は、「専門的な行政機関」と言えますね。
これほど多くの専門家が勤務している保健所では、「どのような業務やサービスが提供されているのか?」と気になりますよね。
ここからは、保健所での業務やサービスを紹介していきます。
保健所の業務・提供しているサービス内容
保健所では、主に14種類の事業を行っています。
精神・健康・衛生保健福祉に関連した、以下のような事業内容があります。
- 医薬品相談
- 医療相談
- 難病対策
- 自立支援に関する、福祉サービスの利用支援
- 各種統計調査
- 障害者相談
- 薬物乱用防止対策
- 飲食店や食品製造業の営業許可
- 理容・美容の営業許可
- 旅館業の営業許可
- 水質検査
- 栄養調査
- 生活習慣予防対策
- 感染症発生届出・受理
- 精神保健福祉相談および訪問指導
- 在宅難病患者訪問相談・指導
- 骨髄ドナー登録受付等
- 障害児医療相談
- 飼い犬の登録
- 狂犬病予防
- 墓地・納骨堂・火葬場の許可
他にも様々な事業があり、専門性の高い施設だということがお分かり頂けると思います。
保健所でのサービスは、大きく分けて「対人保健分野」と「対物保険分野」の2つになります。
どのようなサービスか、確認していきましょう。
対人保健分野のサービス
対人保健とは、地域住民にむけた保健サービスを言います。
対人保健に関するサービスは、以下のようなものがあります。
- 医療相談
- 障害者相談
- 健康教育
- リハビリ教室
- 訪問指導
- 健康相談
- 成人健診
- がん検診など
馴染みの深いサービスとしては、病気の予防ではないでしょうか。
- 病気に関する情報の提供
- 病気の検査
- 病気の予防・検査に関する手続きなど
例えば、新型コロナウイルスの感染状況報告や相談窓口の設置、PCR検査などが対人保健にあたります。
また、うつ病やアルコール依存などでお困りの方、およびご家族への支援や生活指導も行われています。
うつ病や依存症は、デリケートな問題です。
あまり、周りには公言したくないという気持ちがありますよね。
公言したくないゆえに、誰にも相談できないという苦しさがあると思います。
そういった周りに助けを求めにくい方への支援を保健所はしています。
独りで悩んだり、抱え込みすぎず積極的に活用していただきたいですね。
対物保健分野のサービス
対物保健サービスは、環境衛生に関するサービスのことを言います。
対物保険に関するサービスは、以下のようなものがあります。
- 飲食店・カフェの営業許可
- 理容・美容の営業許可
- 薬局の開設許可
- 狂犬病の予防接種
- 水質検査
- 害虫に関する相談
- 産業廃棄物に関する苦情相談
- 大気汚染に関する苦情相談
- 騒音や振動に関する苦情相談
- 悪臭に関する苦情相談
たとえば、飲食店やカフェ・旅館の営業許可が環境衛生サービスにあたります。
飲食店の開業をする場合、保健所に営業を許可してもらう必要があります。
なぜなら、食品の提供や安全に関することは「食品衛生法」で定められているからです。
また、食中毒が発生した場合には、病院は保健所への連絡を義務づけられています。
環境衛生に関するサービスは、対物保健に該当すると覚えておきましょう。
保健所で身近なサービス
保健所で提供しているサービスで、私たちの生活に馴染みのあるサービスを紹介していきます。
ぜひ覚えていただいて、お困りの際に活用していただければと思います。
きっと、悩めるあなたの力になってくれますよ。
母子保健
母子保健とは「赤ん坊が生まれ、育児中に受けられるサービス」のことです。
日本の育児は、残念ながらお母さんが1人で育児を行ってるのが現状です。
「ワンオペ育児」と呼ばれ、世のお母さんの肉体・精神的負担が大きく問題になっています。
そんなお母さん達には、ぜひ母子保健を活用していただきたいと思います。
母子保健には、以下のようなサービスがあります。
- 母子保健離乳食講習
- 乳幼児健康診断
- 1ヶ月児健康診査
- 3ヶ月児健康診査
- 7ヶ月児健康診断
- 3歳6ヶ月児健康診断
- 3歳児健康審査
- 3歳児しか健康診査・健康相談
誰かに相談できるというのは、不安や気持ちが軽くなりますよね。
少しでも、多くのお母さん達の育児負担が減ればいいなと思います。
精神保健福祉
保健所では、心の病気についてのサービスを行っています。
精神保健福祉で受けられるサービスは、以下のとおりです。
- 精神科医療の相談
- 社会復帰の相談
- 依存症の相談
- 認知症の相談
- メンタルヘルスの相談など
「お酒がやめられなくて、困っているがどうすればいいか?」
「ADHDの特徴に当てはまるので、受診するべきだろうか?」
「母が認知症のような気がする。」
こういった、周りに相談しにくいお悩みにも対応してくれますよ。
悩みを抱え揉んで、ご自身が病んでしまっては大変です。
保健所の精神保健福祉を活用してみてはいかがでしょうか。
きっと心がラクになりますよ。
栄養指導
保健所では、栄養指導の事業を行っています。
フードロスが大きな社会問題となり、飽食の時代と呼ばれる昨今。
コンビニ食やジャンクフード、食の欧米化が進んだ結果、肥満・メタボリックシンドローム・高血圧・糖尿病に悩まされる人が増えています。
ダイエットを試みるも、正しい知識が無いことや間違った方法で健康を害してしまうことも少なくありません。
そういった方々に、正しい栄養指導を提供するのも、保健所の事業なのです。
栄養指導は、管理栄養士が決まった曜日や時間に「食事改善の指導や相談」をしてくれますよ。
今後ますます需要が増えていく事業と思われます。
肥満や、高血圧に悩まれている方は栄養指導を受けてみてはいかがでしょうか?
保健センターとは?
保健センターとは、地域住民の健康作りをメインとする施設です。
地域住民が直接うけるサービスを提供するのが、保健センターの特徴といえます。
保健センターも、保健所と同じく「地域保健法」に基づき設置されています。
保健所と違う点は、所長が医師ではないという点です。
また、地域によっては名称が違うサービス施設もあります。
- 保健福祉センター
- 健康センター
- 母子保健センター
いずれも、保健センターの一種で地域住民に密着したサービスを提供します。
地域住民にとって、とても頼りになる保険センターですが、注意しなければならない点があります。
じつは、保健センターには「必ず設置しなければならない」という義務がありません。
お住みの市町村によっては、保健センターが無い場合もあります。
ご利用の際は、お住まいの市町村に保健センターが設置されているか確認しましょう。
保健センターに勤務している職員とは?
保健センターに勤務している職員は以下のとおりです。
- 医師
- 保健師
- 管理栄養士
- 歯科衛生士
- 助産師
- 看護師など
このように、保健所とは異なります。
「地域のよりピンポイントな範囲で、密着したサービスを提供する」という施設の方針が勤務する職種にあらわていると言えますね。
保健センターのサービス内容
保健所は、「専門性や行政機関」という側面が強い印象がありましたよね。
一方、保健センターは地域住民への直接的なサービスの提供がメインの施設です。
イメージとしては、「保健・福祉サービスを受けられる身近な施設」といった感じです。
地域住民の方が、利用する頻度が高く馴染みやすい施設とも言えますね。
保健センターでは、市町村の地域住民に対して「総合的な保健サービス」を提供します。
総合的なサービスとは、主に以下のような内容のサービスです。
- 健康診断
- 保健指導
- がん検診
- 乳幼児健診
- 成人病検診
- 健康診査
- 母子保健
- 成人保健
- 老人保健
- 予防接種
- 緊急医療
保健センターは、地域住民の健康づくりを目的だとお伝えしました。
ですので、保健センターのサービスは、原則「無料か低額」で受けられます。
健康づくりを気軽に受けられるのは、とても心強いですよね。
これを機に、お住まいの保健センターを活用してみてはいかがでしょうか。
保健所と保健センターの違い
ここまで、保健所と保健センターの特徴をお伝えしてきました。
それらを踏まえて、保健所と保健センターの違いを確認していきましょう。
目的
保健所は、公衆衛生を目的とした、専門的な医療がメインの施設です。
保健センターは地域住民の健康づくりをメインとした施設です。
設置場所
保健所は、都道府県・政令指定都市・中核市・特別区に設置されています。
保健センターは、市町村ごとに設置されていますが、必ず設置する義務はありません。
勤務する職員
保健所は、原則として施設長は「医師」です。医療がメインの施設なので、専門知識のある職員が多く働いています。
保健センターは、保健所に比べると職員の数は少ないです。働いている職員も保健師が多いことがほとんどです。
まとめ
本記事の内容をまとめます。
- 保健所とは、どんな施設か?
- 保健所に勤務する職員の種類
- 保健所のサービス内容とはなにか?
- 保健センターとは、どんな施設か?
- 保健センターのサービス内容とはなにか?
- 保健所と保健センターの違いとは?
本記事では、保健所と保健センターについて解説してきました。
保健所と保健センターには、それぞれが得意とするサービスがあります。
ご自身の必要とされるサービスを見極めて、最大限活用していきましょう。
うまく活用していただき、あなたの健康が向上することを願っています。