誰でも国家・地方公務員になれる?試験の種類や大卒との給与の違いとは?

不景気が騒がれる昨今、多くの人が安定した職に就きたいと願っています。
安定した職として真っ先に思い浮かぶのが「国家公務員」ではないでしょうか?

しかし、公務員といっても職務形態は様々あります。
「国家公務員って、そもそもどんな仕事をしているのかな?」
改めて考えてみると、このように疑問に思う方もいらっしゃると思います。

また、「国家公務員になったら、全国転勤しなきゃいけないのかな?」
このように不安になってしまう方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、国家公務員について詳しく解説していきます。
これから国家公務員を目指す方は、しっかり確認していきましょう。

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そもそも国家公務員とは?

国家公務員とは、「国の機関で働く公務員」です。
ただし、選挙や特別な試験を受けることで公務員となる国会議員・大臣・裁判官や検察官も存在します。

本記事では、一般的な採用試験を受けて国家公務員になるケースについてご紹介していきます。

国家公務員はどこで働くの?

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国家公務員の勤務場所は、国の機関によって異なります。

国の機関は3つあります。

  • 立法
  • 司法
  • 行政

上記のどの機関に属するかによって、国家公務員の勤務先が決まるのです。

ではそれぞれの機関に勤める国家公務員を確認していきましょう。

立法府

立法府を担当するのは、「国会」です。
参議院と衆議院に議事運営のサポートを行う「事務局職員」や「法制局職員」がいます。
また、「国立国会図書館員」が勤務するのも立法府となります。

司法部

司法部を担当するのは「裁判所」です。
勤務するのは、裁判運営をサポートする「裁判所事務官」。
家庭裁判所で少年事件などの調査を行う「家庭裁判所調査官」が働いています。

行政

これまでに紹介した「立法」と「司法」以外を行政と言います。
実は、この行政が一番多くの機関が存在しており、多くの国家公務員が勤務する機関となります。

国の行政は、主に以下のような機関があります。

  • 内閣府
  • 総務省
  • 外務省
  • 法務省
  • 文部科学省

これらの機関は我々国民の生活へ密接に関係しています。

例えば、以下のようなことを取り扱っています。

  • 教育
  • 財政
  • 政務
  • 防災
  • 防衛
  • 外交
  • 治安
  • 貿易
  • 通信
  • 産業
  • 流通
  • 教育
  • 育児
  • 労働
  • 食料
  • 医療
  • 農業
  • 漁業

ここで紹介した以外にも、沢山のことに関わっています。

行政とは、わたしたちの生活に欠かせない機関だと言えるでしょう。
そこで働く国家公務員の業務は、とても責任とやりがいのある仕事なのです。

国家公務員の種類

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国家公務員は以下の3つの機関に属する職員がいます。

  1. 行政府
  2. 立法府
  3. 司法府

特に規模の大きい行政府に所属する一般公務員は、さらに以下の3つの職種に分かれます。

  1. 国家総合職
  2. 国家一般職
  3. 国家専門職
  4. 外務専門員
  5. 経験者採用試験

それぞれ、採用試験から異なります。

職務内容はもちろんのこと、給与や昇進のスピード、転勤の範囲も変わってきます。
また、職員の採用については官庁ごとに行われるのが特徴です。

ただし、職員の採用試験に関しては、「人事院」という機関が全てを統括し実施しています。
中でも、総合職と一般職の採用は少し変わっています。

本来であれば、試験に合格することで採用という形になります。
ところが、総合職と一般職は「合格後に希望する官庁の面接を受け、合格し採用」という形になります。

また、専門職に関しては「担当官庁と人事院」が協働して採用試験を行います。
ですから受験の時点で採用官庁が分かれてる関係上、合格後に希望する官庁の面接を受ける必要はありません。

他にも、社会人が受験できる国家公務員試験もあります(※40歳未満が対象)

社会人が受験できる国家公務員試験には、主に「社会人試験(係員級)」と経験者採用試験(係長級)の2つがあることを覚えておいてください。

行政府の公務員

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それでは、ここから先は一番在籍する公務員の多い行政府の職種について詳しく確認していきましょう。

国家総合職

国家総合職とは、「制作の企画立案などの、高度な技術や知識・経験を必要とされる業務に従事する国家公務員」のことを言います。
官僚などがそれにあたり、いわゆる「キャリア」と呼ばれる人たちのことです。

中央省庁に所属し、中央と地方間の異動を繰り返します。
地方に勤務し制度の問題などを認識することで、中央で法改正を行い問題解決へと繋げる意図があります。

国家総合職は、平均35歳になると海外に派遣され、外交官に従事することが多いのも特徴です。

業務内容としては、主に以下のような業務を担当します。

  • 製作の立案
  • 法案の作成
  • 予算編成

上記のような国を形作る責任の大きい業務に携わります。

そのため、昇進のスピードがとても早いのが特徴と言えるでしょう。

国家公務員一般職

国家公務員一般職とは、事務処理などの業務に従事する公務員のことを言います。
国家総合職とは違い、勤務先は中央官庁以外にも「全国に存在する出先機関」があります。

地方で国家公務員として働くことが出来るので、わたしたちにもっとも身近な国家公務員と言えるでしょう。
職務内容としては、政策や法律を実行運用する実務があります。

また、出先機関では窓口業務を行う事があり非常に多岐にわたる業務を担当しています。

国家公務員専門職

国家公務員専門職とは、「特定の職種に準ずることを前提とした国家公務員」のことです。

国家公務員専門職の種類は、主に以下の通りです。

  • 皇宮護衛官
  • 法務省専門職員
  • 財務専門官
  • 国税専門官
  • 食品衛生監視員
  • 労働基準監督官
  • 航空管制官
  • 海上保安官

上記の職種を見て分かるとおり、国家公務員専門職は「特定の職務におけるスペシャリスト」です。
各種専門分野に精通したスペシャリストが職務を行います。

また、海上保安官・労働基準監督官には「逮捕権」が認められています。

国家専門職には、法律により「特別な権限が認められている」という特徴があることを覚えておきましょう。

外務専門員

外務専門官とは、「日本の国益を守るために国際社会で活躍する外交官」です。

外交官は主に以下2つの採用試験を経て採用されます。

  • 国家総合職試験
  • 外務省専門職員試験

外務専門員は、外務省が独自に実施する「外務省専門職員試験」をクリアして採用されます。
また、「言語と担当地域に特化し外交の最前線で働くスペシャリスト」です。

担当地域の情報収集や分析を業務とし、政策の立案をサポートするのが主な役割となります。

経験者採用試験

経験者採用試験とは「民間企業などの実務経験者を、国家機関の係長以上の官僚に採用する試験」のことを言います。
経験者採用試験に携わる公務員の業務は、主に政策の企画・立案や法令業務があります。

ですが、試験の種類・内容や各府省によって業務内容が異なるのです。

採用後の業務は非常に多岐に及ぶといえるでしょう。

司法部の公務員

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ここからは司法(裁判所)に所属する国家公務員を紹介していきます。

司法部の公務員は以下の3つの種類があります。

  1. 裁判所事務官(総合職)
  2. 裁判所事事務官(一般職)
  3. 家庭裁判所調査官補(総合職)

それぞれを詳しく見ていきましょう。

裁判所事務官(総合職)

裁判所事務官とは、「裁判の進行を円滑にサポートする業務を行う国家公務員」のことです。
裁判所事務官には、総合職と一般職が存在します。

裁判所事務官の総合職は、「政策の企画立案に対して高い能力を持っているかどうかを重視する試験」において採用される業種を言います。

裁判所事務管(一般職)

裁判所事務官の一般職は、「的確な事務処理を行う高い能力を持っているかどうかを重視する試験」において採用される業種を言います。

総合職と違って試験内容が違うので、求められる事務官の資質も異なるのです。

家庭裁判所調査官補(総合職)

家庭裁判所調査官補(総合職)は、「政策の企画立案を行う高い能力を持っているかどうかを重視する試験」において採用される業種を言います。

家庭裁判所調査官補は、心理学や社会学・社会福祉学や教育学などの専門知識や技術が必要となります。
それらの専門知識や技術を使い、家庭内で起きる問題解決や、非行少年の更生の調整や調査を行う重要な職種です。

裁判官や裁判官書記官などと連携して業務にあたります。

また、学校や児童相談所といった機関と連携して仕事をする必要も出てきます。

立法府の国家公務員

ここからは立法府に所属する国家公務員を紹介していきます。

立法府の公務員は以下の種類があります。

  1. 衆議院事務局職員
  2. 衆議院衛視試験
  3. 衆議院法制局職員
  4. 参議院事務局職員
  5. 参議院専門職
  6. 法制局職員
  7. 国立国会図書館員(総合職・一般職)
  8. 国立国会図書館員(資料保存専門職員)
  9. 国立国会図書館員(情報システム・設備専門職員)

衆議院事務局職員

衆議院事務局職員とは、「衆議院での立法活動を補佐する国家公務員」です。
衆議院事務局職員になるには、国家資格の取得が必須となります。

試験内容が難しく、年齢制限があることから従事するのが難しい職種と言えるでしょう。

採用されると、会議運営部門や調査部門・議員の活動補佐部門のいずれかに従事し下記のような業務を行います。

  • 本懐議長・委員会の補佐
  • 関係者間の連絡調整
  • 会議の資料作成
  • 国税調査
  • 議員要請に伴う調査と資料作成
  • 議員補佐
  • 人事や厚生の管理運営事務

表立った職務ではありませんが、政治を陰で支える縁の下の力持ちのような職務と言えるでしょう。

衆議院衛視

衆議院衛視とは、いわゆる「国会専用の警察官」に従事する国家公務員です。
職務内容は、主に議員会館の警備や秩序の維持となります。

また、政府要人や海外からの賓客警護・国会内の防災消防業務などがあります。

衆議院法制局職員

衆議院法制局職員とは、「衆議院会議運営全般に関する業務を行う職務」を言います。

以下が衆議院法制局職員の業務です。

  • 衆議院本会議、各委員会の法律案の立件補佐
  • 国政調査において、議長や委員長の補佐
  • 議事手続きに関する事務処理
  • 会議に関する資料作成や、各省庁関係者との連絡調整

衆議院法制局職員は、多岐に渡る業務があるわけですね。

参議院事務局職員

参議院事務局職員は、「参議院の立法活動を補佐する業務」を行う国家公務員です。
参議院事務局職員の仕事は、会議運営部門・調査部門・総務部門の3つに深くかかわります。

これら3つの部門の職務を通じて、参議院の活動を幅広く補佐していくこととなります。

参議院専門職(衛視)

参議院専門職(衛視)とは、「参議院の議員警察に従事する国家公務員」です。

衆議院衛視と、同じ内容の業務となります。

法制局職員

法制局職員とは、「参議院において議員の立法活動を補佐する業務」に携わる職務です。
職務内容としては、参議院議員の依頼による法律案や修正案の立案。

また、法律問題の調査などを行います。

国立国会図書委員(一般職・総合職)

国立国会図書委員とは、「国立図書館に有する様々な業務に携わる職務」を言います。

具体的な職務内容は以下のとおりです。

  • 国立国会図書館の有する国会活動の補佐
  • 資料作成や情報収集・保存
  • 調査業務
  • 一般事務
  • 司書業務

国立図書館の幅広い業務を担当する職種と言えるでしょう。

国立国会図書館員(資料保存専門職員)

国立国会図書館員(資料保存専門員)とは、「図書館資料に関する様々な業務に携わる職種」を言います。

具体的な職務内容は以下の通りです。

各種図書館資料の保存修復業務、資料保存に関する企画・調査及び当該専門的知識を必要とする業務(国内外関係者への研修、外部関連機関との交流等)に従事します。

国立国会図書館員(情報システム・設備専門職員)

国立国会図書館員(情報システム・設備専門職員)とは、「国立国会図書館の情報システムに携わる職種」を言います。

具体的な職務内容は以下の通りです。

  • 情報システムや設備機器関わる企画・維持・調達・管理業務
  • 図書館システムの調査研究
  • 図書館システムに関する専門知識を必要とする業務

図書館の情報システムを支える重要な職種と言えるでしょう。

まとめ

本記事をまとめます。

  • 国家公務員とは「国の機関で働く公務員」のこと
  • 国家公務員の勤務先は「立法府・司法府・行政府」である
  • 行政府の公務員は「国家総合職や国家公務員一般職・公務員専門職」がある
  • 司法部の公務員は「裁判所事務官(一般・総合)と家庭裁判所調査官補」がある
  • 立法府の公務員は「衆議院・参議院事務職や専門職、国会図書館員」がある

国家公務員と一口に言っても、実に多くの職種や業務があることをご理解いただけたと思います。
いずれも責任とやりがいのある、国を形作る重要な仕事です。

日本の明るい未来を創るために、ぜひあなたも国家公務員を目指してみてはいかがでしょうか?

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