【今更聞けない】五月病って何?原因や対処法を徹底解説!

五月病の正体は「適応障害」です。
適応障害とは「人間関係や環境に適応できないために生じる強いストレスが原因で発症する鬱の前段階」です。

医学的に五月病という病名は存在しません。
五月病という言葉を流行らせたのは心理学者の望月守氏と言われています。
つまり、五月病の正体である「適応障害」になりやすい人の特徴と対策を知ることが五月病の撃退に繋がります。
今回は、五月病(適応障害)になりやすい特徴とその対策について事例を交えながら説明します。

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1.五月病の正体は「適応障害」

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五月病は鬱の前段階です。適応障害も鬱病の前段階といわれています。
厚生労働省のホームページにある「知ることからはじめよう、みんなのメンタルヘルス」では、適応障害について「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」と説明されています。

つまり、適応障害は強いストレスを感じてから、1ヵ月以内に起こる鬱の前段階のことをいいます。
五月病の多くは新入社員。
新年度の4月からゴールデンウィークまでの1ヵ月間に強いストレスを抱え、ゴールデンウィークがトリガーになると考えられていました。
そこでさらに仕事への意欲が低下し、五月病という軽い鬱状態になります。

しかし、最近では「六月病」という言葉も増えています。
企業によって部署の配属が5月であること、テレワーク導入により入社式の時期が5月以降になっていることなどの背景があります。
つまり、発症の要因はゴールデンウィークなどの「長期休暇」ではなく、学生から社会人になった「環境の変化」が大きな要因です。
環境の変化により強いストレスを感じてから1ヶ月後に起こる鬱の前段階が「適応障害」です。

2018年、チューリッヒ生命が全国1000人のビジネスパーソンにストレス調査をしました。
そのアンケートの中で、「あなたの勤め先で、ストレスの原因になっていると感じることをお答えください。」という質問がありました。
最も多かった回答が男女ともに「上司との人間関係」であり、約40%を占めました。女性の2番目に多かった回答は「同僚との人間関係」であり、約30%です。
多くの人の悩みが「人間関係」です。
つまり、軽い鬱状態を発症するのは「5月」などの時期ではなく、「他人」に適応できないからです。
これが医学的には「五月病」ではなく、「適応障害」であるということの裏付けになります。
この記事では「五月病」を「適応障害」として説明していきます。

2.適応障害は後天的、発達障害は先天的

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2-1.適応障害はコミュニケーションが苦手なわけではない

適応障害は後天的な精神疾患です。
「障害」を持って生まれたわけではなく、脳や精神に異常はありません。
この「障害」や「疾患」などの言葉が多くの人にマイナスイメージを膨らませます。

同じ「障害」や「疾患」でも、整形外科疾患(骨折、変形)や脳疾患(脳卒中、腫瘍)などはMRIやCTで異常を可視化できます。
しかし、精神病は目に見えません。
精神科医はチェックリストや過去の経験、統計から診断するしか方法はありません。
実際に、適応障害などの精神病の研究は少なく、解明されていないのが現状です。
その中でも、今までの統計から原因や特徴は分かってきています。
適応障害を引き起こす原因は「対人関係」です。
他人との価値観や考え方の違いから歪みが生まれ、それがストレスとなり発症します。
適応障害を引き起こしやすい人の特徴は「真面目」「完璧主義」「正義感が強い」です。
一見、長所でもあるこれらの特徴が社会に出た時に不利に働きます。
これらの特徴は学生時代では浮き彫りにならないことが多いです。
それは学生時代に主に関わる家族や友人に対してこの3つの特徴が短所に感じるような高度なコミュニケーションが行われないからです。
また、長所として捉えられることが多いからです。

しかし、仕事ではこの特徴が自分の気持ちを苦しめる特徴に変わります。
特に「空気を読み合う日本」では周囲から反感を受けます。
「しっかり仕事したい」「細かいところまで」「誰かのために」といった強い気持ちが周囲の人との間にズレを生じさせます。
つまり、適応障害を発症する人は仕事への熱意のズレが原因で対人関係に悩みを抱えますが、コミュニケーションが苦手というわけではありません。

2-2.適応障害の7割は発達障害の可能性がある

心理カウンセラーの船曳泰考氏は「体感レベルではあるが、適応障害を発症した人の7割が発達障害の可能性がある」と紹介しています。
発達障害とは医学的に「脳機能の障害」で、日本では10人に1人が発達障害を持っていると言われています。
発達障害の方が苦手とすることは「円滑なコミュニケーション」や「ミスや漏れ、抜けのない仕事」です。
この特徴が「怠けている」「適当」「仕事ができない」と周囲に感じさせてしまします。前述の適応障害とは違い、多くのエビデンスがあります。

発達障害は「ダウン症候群」「自閉スペクトラム症(ASD)」「アスペルガー症候群」「学習障害(LD)」「知的障害」と分類され、発達障害の研究が進む中で、近年は「大人の発達障害」が注目されています。
2005年に「発達障害支援法」が制定されました。
発達障害支援法とは障害の早期診断・療育・教育・就労・相談体制などにおける発達障害者支援システムの確立を目指す法律です。つまり、発達障害を持つ人が生活をしやすいように周囲が支援していく制度です。

2005年以降は乳幼児健診で早期発見を行っていますが、それ以前の大人に位置する世代は社会的ケアを受けられなかったことになります。
この世代は2021年現在で1998年生まれ以前です。
発達障害も適応障害のように学生時代には浮き彫りにならなかったケースがあります。
これは脳の障害の程度によりますが、明らかな症状がない場合は「その子の性格」といった判断をされてきました。近年は発達障害が注目され、その診断を受けた多くの著名人が発達障害を公表しています。
その著名人達は「診断を受けてモヤモヤがとれた」「公表して楽になった」と話しています。

適応障害(五月病)や発達障害を克服する一つの手段として、「診断を受けること」が重要です。
診断を受けることが自分を知るきっかけになり、そこから「どうしていくのか」を考える糸口になります。

2-3.障害を需要することが克服への第一歩

早稲田大学を卒業したフリーランス国際協力師の原貫太氏(1994年生まれ)は2018年5月に「適応障害」を発症し、克服に至っています。
彼は親から離れ一人で生活したことが、「依存」から「自立」に変わり、そこでプレッシャーを感じ適応障害を発症しました。
その環境の変化がプレッシャーになった要因は「他人に甘えずに自分一人でなんとかするものだ」という考えです。
しかし、適応障害を発症し自分と向き合うようになってからは「できないことは他人に頼ってもいい」ことに気づき、考え方を変えて克服に至っています。
前述のように、適応障害の「真面目」「完璧主義」「正義感が強い」という特徴が自分を苦しめることになります。
特に仕事にはお金という「対価」や人の「損得」を考えてしまうことがあります。
「お金を貰っているから」「誰かのために」といった想いがさらに気持ちを締め付けてしまいます。

 発達障害は「脳の障害」であり、適応障害は「ストレスが原因」です。
脳の障害である発達障害は専門家(医師)の治療を必要とします。
ストレスが原因である適応障害はそのストレスを感じてしまう原因を分析し、それを避けていくことが解消・克服に繋がります。

3.適応障害(五月病)の解消・克服のカギは「自己分析」と「環境」

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 適応障害を解消・克服するにはストレスを感じてしまう自分を分析し、ストレスを避けることです。
分析するべきは「考え方の問題」です。
また、「環境を変えること」もストレスを避ける手段になります。

3-1.適応障害(月病)の特徴を理解し、自分を分析する

「真面目」「完璧主義」「正義感が強い」という特徴が社会では通用しないことがあります。
その特徴を持っていても、状況によって抑えることが重要になります。
仕事という利益を生み出す状況下では、「効率」が最も重要です。
つまり、短時間で利益を生むことが理想です。
そのためにはある程度で終わらせなければいけないことも多くあります。
しかし、力を抜かずに時間をかける行為は企業にとって損失です。
例えば、ある資料を上司から頼まれたとき、優先すべきは仮の資料を作成することです。
それを上司に確認してもらい、方向性が合っていれば期日までに仕上げて提出します。
また、その間に浮かんだ不明点は適宜確認すべきです。
しかし、適応障害の特徴があると「仮の資料」「不明点を聞くこと」「確認」などの行為に引け目を感じてしまいます。

こういった考え方を変えなければ、企業にとって厄介者になります。
つまり、柔軟に仕事を進める考え方に変えるべきです。
この特徴を理解した上で、自分を分析してみましょう。
それでも「自分は完璧にやらないと気が済まない」「適当にやるのは仕事ではない」という考えがあるのなら、職場を辞めてフリーランスとして働くのもいいでしょう。

3-2.働き方や環境を変える

適応障害の方にとって、企業に勤めるデメリットは「企業の方針に従うこと」「職場の人と協力すること」です。
自分を分析しても「今の自分が正しい」と思うこともあります。
自分を貫いて成功する人もいます。ただ、企業に入ってまで貫くことが正しいとは言えません。
それは企業に勤めさせてもらい、給料を保証されているからです。
企業やその職場の人間に迷惑をかけてまで勤務する必要はありません。

前述の発達障害を公表した人の中には、ディズニーランドの創業者の「ウォルトディズニー」、ハリウッド映画監督の「スティーブン・スピルバーグ」もいます。
また、発明家の「トーマス・エジソン」も発達障害を持っていたと言われています。

4.適応障害(五月病)は弱みではなく、強み

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適応障害の特徴(真面目、完璧主義、正義感が強い)は強みです。
ただ、この特徴を生かせる場所が企業などの集団には向いていません。
反対に「不真面目」「適当」「見て見ぬふりをする」といった人も存在します。

企業は様々な人がいる中で自分を抑えながら協力して目標に向かう場所です。
その企業で働くことを望むのであれば、まずは自分を分析しましょう。
自分の「考え方」や「行動」が企業に合っていますか。
わからなければ上司や先輩に相談することで視野が広がります。
その「相談すること」が上司や先輩に自分を理解してもらうチャンスになります。

それでも自分を変えられないときは職場を変えること、働き方を変えることなどの選択肢もたくさんあります。
狭い視野にならないよう、客観的に自分を観てみましょう。

【参考文献】
・「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」厚生労働省
・「発達障害」 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
・コラム 「発達障害のこだわりは臨界期があるって本当?こだわりとの折り合いの付け方お教えします!」 舩曳泰孝
・ブログ 「適応障害になって気づいた。自立の意味が変われば、社会人の「鬱」は減るかもしれない」 原貫太

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