もし、企業が40代のあなたを雇った場合、その企業は社員達に対してあなたを雇った理由をどのように説明すると思いますか。
これが自己分析であり、転職活動を成功させるかどうかの答えです。
これが説明できなければ、あなたに「魅力はない」ということです。
今の自分を見つめ直した時、何か一つでも「強み」がなければ雇われることはありません。
40代での転職を成功させるには「現状の理解」と「変化」が重要です。
今回は40代の転職活動を成功させるポイントや具体的な段取りについて解説していきます。
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1.「現状の理解」とは「日本の現状」と「自分の現状」を理解すること
現状の理解とは「日本の現状」と「自分の現状」を理解することです。
「日本の現状」とは人口減少による労働者の減少であり、その労働者減少をカバーするのは「機械」になります。
転職を考えているのであれば、自分が「機械よりも必要とされる人材であるのか」ということを見直さなければいけません。
そしてそれが「自分の現状」を理解することなのです。
転職をする前段階として、日本の問題と自分自身を理解することが最優先になります。
1-1.日本の現状は「人」よりも「機械」に期待している
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの調査では「2030年までに既存業務のうち27%が自動化される見込みであり、1660万人分の雇用が代替される可能性がある。」と報告されています。
1660万人の労働者の雇用がなくなるということは、2030年の労働者予想人数(6700万人)の約25%の雇用がなくなる計算になり、4人に1人が機械に仕事を奪われます。
また、「日本における自動化の適用可能性は世界各国と比較しても高く、日本では全職業の作業時間のうち56%の時間が反復型ルーチンワークに費やされており、技術的には67%以上の作業を自動化できる可能性が存在します。
賃金増加や労働人口の減少による人件費の高騰や労働力不足に悩む日本の大企業・中小企業にとっては、救世主となる可能性を秘めている。」との報告もあります。
つまり、日本は「機械に仕事を奪われる可能性が最も高い国」です。
そして、労働者減少によるGDP低下を防ぐためにも、その「機械化」を頼りとしています。
労働者にとって厳しい未来が待っています。
1-2.自分の現状を理解していなければ「何も変われない」
転職を考えているみなさんはなぜ今の企業をやめようとしているのでしょうか。
「自分に合っていない」「つまらない」「きつい」「疲れる」などの「今の感情」で考えていませんか。
今の感情で何かを考え、行動する人は同じことを繰り返します。
将来、その自分に後悔して「自分」を見直した時、「スキルも経験もない自分」に気付きます。
転職に向いている人のやめようと思う理由は「自分のステップアップのため」「企業の将来性を考えて」など、「将来性」を見据えたものです。
あなたに守るべき人はいますか?
妻(夫)、子ども、親、パートナーなど、守るべき人がいる場合も転職をするべきか否かが変わります。
転職後の成功に余程の自信があり、「チャンス」と考えているのであれば問題はありません。
しかし、「挑戦」や「やってみたい」という確信のない気持ちであれば「守るべき人」を守れなくなる可能性が高いです。
家やマンション、車などのローン返済や生活費、養育費、その他の固定費は把握できていますか?
お金をもらうための仕事を変えるのであれば、現在の収入と支出の「詳細」を確認しましょう。
貯えがあったとしても、貯金を削りながらの生活は自分だけでなく、家族の精神的負担にもなります。
20代から30代で守るべき人がいない独身であれば前向きな考えを持って進みましょう。
前述のような「ネガティブな気持ち」で転職することは成長を止めるので注意しましょう。
2.企業は40代以降を必要としていない
企業にとって40代は必要ありません。40代以降の希望退職を募る企業が多く見受けられています。
企業の改革やコスト削減を狙ったものです。
多くの企業は「ただいるだけの人材」にも昇給しますが、これからは「個の能力」を見る時代です。
40代で「能力がない」と気付かれた人は容赦なく削減の対象になります。
また、終身雇用制度も厳しい状況になっています。
2-1.希望退職は40歳以上から
大企業に入れば「一生安泰」という時代は終わりです。
経済に多くの悩みを抱える日本の企業は不安定です。現在、多くの大企業が「希望退職」を募っています。
また、「人員削減」「給料○○%カット」「新卒採用の見送り」など、新卒者にとっても厳しい状況です。
2020年度の「希望退職を募った上場企業」は約130社です。
2019年度の35社と比較すると3倍以上と膨れ上がっています。
2-2.40歳は企業にとって扱いづらい
40代以降の人材の特徴として「コスト(給料)が高い」「勉強しない」「成長しない」「変化に対応できない」ということが挙げられます。
現代のサラリーマンの1日の平均学習時間は「6分」です。
みなさんはこの平均を超えていますか。雇用されている側は企業に「教育してもらう」ということではなく、「自分で勉強した結果を企業にアウトプットする」という考えでいるべきです。
特に40代以降であれば、企業の仕事を新しく覚えることはないので、自分のステップアップのための勉強をするべきです。
何かを学ぶことが成長の可能性を広げ、自分を変化させるきっかけになります。
また、その姿を企業に見せることが「コストに見合った人材」と評価されます。
2-3.終身雇用制度は消滅する
2019年、日立製作所の中西会長とトヨタ自動車の豊田章男社長はともに「終身雇用の崩壊」について発言しました。
定年が70歳になることが予測されるなか、企業にとって65歳以上の高齢者は「人材」として機能しません。
「変化に対応できない」「覚えられない」「勉強しない」「体力がない」など、「知識」や「経験」だけではカバーできない部分は多くあります。
40代で希望退職を募っている日本企業にとって、終身雇用は無理があると言い切れます。
ここまでの説明で、こんなにも厳しい状況である日本において「気持ち」で転職する厳しさが理解できたと思います。
企業が扱いやすく欲しい人材である「新卒」にとっても希望通りの就職は困難です。
この環境下で40代の方が新卒と同じ舞台に立つには今の企業にいるうちから自分を変える努力が必須です。
3.転職を成功させるためには「今から自分を変えること」
就職を成功させるためには現状の自分ではなく、企業にとって「欲しい人材」になっておく必要があります。
そのためには「今の自分を変えること」です。
今の自分を変えるためには「自分を見直すこと」から始めましょう。
40代になった今の自分の「本当の長所や短所」は何か、自分には「人に何かを教えること」ができるのか、企業にとって自分は「欲しい人材」なのか、を考えてみましょう。
その「自分」を把握することが「今やるべきこと」を明確にし、自分を変えるきっかけになります。
4.40代で転職を考えている人がやるべき4つの段取り
転職を考えた時、まずは「日本の現状と自分の現状」を把握することです。
冷静に世間と自分を見直すことが「気持ち」で動くのをとめます。
そして、今の自分ではなく企業にとって「欲しい人材」になるための「変化」が重要です。
その変化のための「段取り」は4つあります。
4-1.自分が本当にやりたいことに目を向ける
本当にやりたいことはありますか。特にやりたいことがなく、現状維持であれば今の企業にいることが最善の選択です。
しかし、自分を見直したときに何か一つでもやりたいことがあればその道に行くのが最善の選択です。
専門や大学を卒業し、やりたいこともない中で受かった企業に入ったことが後悔を生みます。
40代での転職は学生と同じような「なんとなく」や「とりあえずどこでも」ではなく、「本当にやりたいこと」に目を向けましょう。
4-2.やりたいことをやるためのスキルアップを図る
そのやりたいことに合わせてスキルアップを図りましょう。
やりたいことがあっても、40代での未経験者は必要とされません。
今の職場に残ったまま、その転職先に必要なスキルをつけましょう。
そのスキルアップの方法は「副業」でやることをおススメします。
副業といっても簡単ではなく、1円を稼ぐために多くの時間と労力を消費します。
約20年間、毎月大きな変動のない「給与」をもらっていると、自分の力でお金を稼ぐ感覚が薄れます。
もう一つの社会経験として、スキルアップを図る手段を「副業」で探してみましょう。
4-3.自分を売り込むためのコミュニケーション能力をつける
企業に雇ってもらうためには「自分を売り込む」ことが必須です。
自分を見直し、スキルアップが図れたとしても、それを相手に伝える能力がなければ企業にとって「魅力的」ではありません。
相手に伝えるコミュニケーションとは「端的に」「結果から」が必須です。また、相手に伝わっているかの確認も重要です。
自分の頭の中の考えを相手に伝え、それを伝わったのかを確認できるようにしましょう。
4-4.今の職場で何かを変える
やりたいことを明確にし、そのためのスキルアップを図り、その新しい自分を相手に伝えるという努力が「変化」しているということです。
最後に、新しい場所で柔軟に働くためにも、慣れている今の職場で何かを変えましょう。
「今まで見て見ぬふりをしていたこと」「変えた方がいいと思うこと」など、企業には変えるべきものが多く存在します。
そこに目を付けて何かを変える行動をとってみましょう。
新しい職場でもその行動ができれば、企業にとって必要な人材になります。
5.将来の日本の企業にとって必要なのは「柔軟に変化する人材」
自分を見直し、変化することが転職を成功させるポイントです。
機械は与えられた指示のみを的確にこなし、人は感情を持って自分で考えて行動ができます。
機械が苦手なのは「柔軟な変化」です。
人が機械よりも「必要な人材」になるためには「柔軟な変化」を武器にすることです。
転職をする前に、まずは今の職場で柔軟に変化できる自分を作ることから始めましょう!
【参考文献】
・「雇用を取り巻く環境と諸課題について」厚生労働省職業安定局
・「The future of work in Japan」McKinsey & Company
・「上場企業「早期・希望退職」実施状況」株式会社東京商工リサーチ
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