業務委託契約の税金は?源泉徴収の計算方法や確定申告をする場合のポイントを徹底解説

業務委託契約では、個人で確定申告をしなければならないケースがあるので、戸惑う方が多いです。

とくに、複数の企業と業務委託契約を結んでいる場合管理が難しいので、仕組みを把握し、あらかじめ準備しておくことが大切です。
確定申告が必要な状況にも関わらず、申告漏れがあると、ペナルティを課せられる可能性があるので注意しましょう。

また、業務委託契約では、ポイントを押さえておくことで節税につながることもあります。

本記事では、業務委託契約で働く場合の税金について、業務委託の基本から通常雇用との違いや確定申告などのポイントをご紹介します。

業務委託契約とは

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業務委託契約は、文字通り、業務委託を受けて仕事をする働き方です。

業務委託には、以下のような契約方法があります。

  • 請負契約
  • 委任契約

業務を請け負う際は、請負契約と委任契約それぞれについて契約内容を把握しておくことが大切です。

請負契約

請負契約においては、依頼されたものを納品することで、報酬が発生します。

請負契約として仕事をケースが多いのは、以下の職種です。

  • ライター
  • ウェブデザイナー
  • 似顔絵師

請負契約はあらかじめ納期を設定され、それまでに納品する仕組みとなっていることが多いので、自分のペースで仕事を進められます。

ただし、依頼されたものを納品しなければ報酬は発生しません。
予想以上に時間がかかり、労力と報酬が見合わないと感じるケースもあります。

請負契約を結ぶ際は、あらかじめ工数や必要な労力を確認しておくことをおすすめします。

委任契約

委任契約は、納品する形ではなく、依頼された業務を行うことで報酬を受け取る仕組みです。時間が指定されていることもあるので、自分の都合に合わせて仕事を行えないケースが多いですが、請負契約よりも高額な報酬を受け取れる可能性があります。

委任契約は、法律関連の業務であり、以下の職種に適用されるケースが多いです。

  • 弁護士
  • 税理士

報酬が高いのは魅力ですが、「予想外の業務を依頼された」など、契約時に把握していなかった業務が発生することもあるので注意が必要です。

また、人によって相性があるので、あらかじめ業務内容を確認しておくことをおすすめします。

準委任契約

準委任契約は、法律関連以外の業務に適用される点において、委任契約と異なります。
直接雇用されている働き方ではないので、継続的な業務があるとは限りません。

とはいえ、評価次第では需要があり、繰り返し依頼されるケースもあります。

業務委託契約と雇用契約の相違点

雇用契約は労働法に基づく契約であり、以下のような雇用形態があります。

  • 正社員
  • パート・アルバイト
  • 派遣社員
  • 契約社員

雇用契約の場合、就業規則や労働法が適用されるので、あらかじめ確認が必要です。

一方、業務委託契約の場合、労働法の適用とはならないことに加え、就業規則もないのが一般的です。

業務委託とフリーランスの相違点

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業務委託とフリーランスは、明確に区別されているわけではないですが、以下のような違いがあります。

  • 業務委託:個人もしくは企業が業務を委託
  • フリーランス:個人が企業や組織に属さずに働く方法

フリーランスの業務は、一部業務委託に含まれるケースがあります。

業務委託の際に発生する税金

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業務委託の際は、以下の税金が発生するケースがあります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税

それぞれについて解説します。

所得税

一般的に、会社に勤務している場合、会社側が所得税を算出しています。

一方、業務委託の場合、所得税を自分で計算する必要があります。
業務委託の場合、関連する所得の種類は事業所得です。

住民税

住民税は、各市区町村にて算出されます。
納付通知書が届くので、各自で算出する必要はありません。

個人事業税

個人事業税は、地方税の一種です。

納税額は算出されるので、各自で算出する必要はありません。

消費税

個人事業主に消費税が課せられるのは、規定の期間、年間売上高が1000万円を超える場合です。

ただし、従業員の雇用の有無など、条件設定されているので、消費税が必要かあらかじめ確認が必要です。

業務委託による所得の取扱い

業務委託による所得は、事業所得もしくは雑所得か、迷うケースがあります。

一般的に、本業として業務委託を行う場合が事業所得、副業として行う際は雑所得とすることが多いです。

業務委託における源泉徴収額の計算方法

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業務委託における源泉徴収額を計算する方法は、以下の通りです。

  • 年間の業務委託報酬が100万円以下:報酬額 × 0.102
  • 年間の業務委託報酬が1100万円を超える:(報酬額 – 100万円)× 0,2042 + 102,100円

なお、複数の企業と業務委託契約を結んでいる場合、源泉徴収の有無を把握しておく必要があります。

確定申告をスムーズに行うためにも、源泉徴収額の計算方法を把握しておきましょう。

源泉徴収税額の確認方法

通常、会社員であれば、源泉徴収により給与から税金をあらかじめ差し引かれます。
一方、個人事業主が業務委託契約を行う場合も状況によりますが、源泉徴収されることがあります。

たとえば、「講演料の支払い」「弁護士など資格所有者に対する報酬」などにおいて、源泉徴収を行うケースがあります。
ただし、給与所得以外に関しては、源泉徴収票にて確認できません。

個人事業主が業務委託契約を行う際、源泉徴収税額を確認するためには、取り引き先へ問い合わせる必要があります。

業務委託契約時の所得

業務委託契約時の所得は、業務委託の報酬総額から必要経費を差し引いた額です。
業務委託の報酬を得る際にかかった費用は、必要経費となります。

事業所得と雑所得いずれの場合も、同様に考えます。
なお、所得や状況により、確定申告の必要性が異なるので注意が必要です。

所得が業務委託契約によるもののみの場合

業務委託契約を本業としている場合、確定申告の必要性は以下のようになります。

  • 所得額が48万円以下:確定申告不要
  • 所得額が48万円を超える:確定申告が必要

というのも、業務委託契約を本業としている場合、基礎控除は48万円となります。課税所得は、所得額から48万円を差し引いた額となるので、所得額が48万円以下の方は課税されません。

なお、基礎控除に関しては、所得によっては対象外となるので注意が必要です。

副業で業務委託契約をしている場合

給与所得者が副業として業務委託契約を結んでいる場合、本業の給与所得以外に20万円を超える所得がある場合に確定申告を行わなければなりません。

なお、所得が業務委託契約によるもの以外にある場合、合計20万円を超えるのであれば確定申告が必要です。

副業で業務委託契約を行っている際の課税所得の算出方法は、本業の場合と異なるので確認しておきましょう。

配偶者控除対象の場合

配偶者控除対象の場合は、以下の所得控除となります。

  • 年間所得が38万円以下(ただし、配偶者が70歳以上であれば48万円以下)
  • 給与収入が年間103万円以下

配偶者控除対象の場合、上記以内であれば、確定申告をする必要がありません。

扶養控除対象の場合

扶養控除の対象の場合、以下の条件において所得控除を受けられます。

  • 年間所得が48万円以下
  • 給与収入が年間103万円以下

業務委託契約における所得が48万円以下の場合、確定申告をする必要がありません。

業務委託で確定申告漏れの場合

業務委託にて、確定申告が必要な状況で確定申告漏れがあった場合、罰則の対象となる可能性があります。

確定申告のタイミングが、確定申告の期限を超えていた場合、無申告加算税が課せられるので注意が必要です。

また、税金を期限までに納めなかった場合、延滞税の対象となります。

業務委託契約時、確定申告を忘れないよう注意しましょう。

業務委託契約の確定申告で必要なもの

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業務委託契約では、個人で確定申告を行わなければならないケースが多いです。

スムーズに確定申告を行うには、あらかじめ必要な書類を準備しておくことが大切です。

支払調書

支払調書は、収入を証明するための書類であり、以下が記載されています。

  • 年間の支払総額
  • 源泉徴収税額

業務委託契約を複数の企業と結んでいる場合、支払調書もそれぞれ必要です。

領収書などの経費関連の書類

業務委託契約で確定申告する際は、領収書などの経費関連の書類を準備しておくことが大切です。

領収書などを保管していない場合、経費計上できず、税金の負担が大きくなる可能性があります。

確定申告書B

確定申告書にはAとBがありますが、業務委託契約の場合はBとなります。

なお、添付書類も複数あるので、あらかじめ確認しておきましょう。

業務委託契約における節税のポイント

業務委託契約の場合、確定申告を行うことにより、所得税の還付を受けられるケースがあります。その他、節税につながるポイントが複数ありますので、ぜひ、チェックしてみてください。

可能であれば青色申告にする

確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告の方が節税効果が高いです。たとえば、青色申告には以下のようなメリットがあります。

  • 所得控除を最大65万円得られる
  • 家族の給与を経費扱いにできる

副業として業務委託契約を行っている場合、白色申告となるのが一般的です。

一方、業務委託契約を本業としているのであれば、青色申告を検討できるケースがあります。

青色申告とするには条件を満たす必要がありますが、大きな節税につながります。

漏れなく経費計上する

計上できる経費が多い方は、節税になります。
業務委託契約時、業務に関連する経費であれば、計上できます。

経費として認められるものをあらかじめ把握し、漏れなく経費計上しましょう。

帳簿記帳をしっかり行う

業務委託契約時、帳簿記帳をしっかり行うことが大切です。

業務委託契約を行っている場合、複数の企業と契約しているなど複雑なケースも多いので、帳簿記帳を意識しておきましょう。

また、領収書などの管理も必要です。
とくに、青色申告を行う場合は、7年間帳簿・証憑を保管しなければなりません。

まとめ

業務委託契約は、業務委託を受けて仕事をする働き方であり、請負契約と委任契約があります。業務委託契約と雇用契約とでは、労働法適用の有無などの違いがあります。

また、業務委託の際は、所得税や住民税、個人事業税、消費税などの税金が発生することに加え、個人での確定申告が必要となるケースがあるので、確認しておきましょう。

業務契約時の税金や確定申告のポイントを把握しておくことで、節税できるケースもあります。

スムーズに必要な手続きができるよう、あらかじめ情報収集しておきましょう。

業務委託契約の税金は?源泉徴収の計算方法や確定申告をする場合のポイントを徹底解説
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