「社会人になるとどのくらい税金を引かれる?」
「社会人が支払う費用はどのようなものがある?」
新社会人になると、額面金額と手取り金額が異なり、戸惑うケースがあるでしょう。
社会人には税金や社会保険料の支払い義務があります。
差し引かれる金額の詳細を把握した上で、将来に向けて貯蓄する必要があるでしょう。
本記事では、社会人になって働き始めてから個人にかかる税金について、その種類やどういった内容なのかをご紹介します。
社会人が支払う税金・社会保険料
社会人は、毎月給与を得られるケースが多いですが、全てが手元に残るわけではありません。
税金の支払い義務があるので、給与と手取り金額には数万円差が生じます。
社会人が支払う税金について詳しく解説します。
所得税
所得税は、所得に応じて課せられる税金であり、社会人が支払う税金の代表ともいえます。
対象は、1月1日から12月31日までの所得であり、所得が多いほど所得税も高くなるのが特徴です。
所得税は累進課税となっており、7段階の税率で算出されます。
会社に勤務している場合、所得税は給与天引きとなるのが一般的ですが、見込みの額として差し引かれています。
正確な金額ではないので、年末給与確定の段階で年末調整を行う仕組みです。
差額がある場合は還付や追加徴収を受けることになります。
住民税
住民税は、自治体に納める税金であり、市町村民税と道府県民税の2種類があります。
住民税は前年の所得により算出される仕組みなので、前年の所得のない社会人1年目では課税されません。
ただし、社会人1年目であっても、前年に一定額以上の所得がある場合は、住民税が課税されるケースがあります。
社会人2年目以降は、毎年前年の所得に応じて定められた住民税を支払います。
住民税の額は、毎年配布される住民税の通知書にて確認しておきましょう。
なお、住民税は、以下の合計金額です。
- 所得割額
- 均等割額
所得割額は、所得に税率10%をかけて算出し、均等割税は、住民一人一人に均等に課せられます。
自治体によって税額は異なるものの、算出方法は同じなので、極端な差が生じることはありません。
健康保険料
健康保険料は、公的な医療保険料であり、医療機関を受診する際の医療費を軽減できます。
健康保険料は収入により異なりますが、税率が明確に設定されているわけではありません。
納付額は、「標準報酬月額」をもとに定められる仕組みです。
標準報酬月額は、以下で定められます。
- 定時決定:毎年実施される
- 臨時改定:給与の変動が大きい場合に行われる
会社勤務の場合、健康保険料の負担は会社と従業員で半々となります。
なお、扶養者は、健康保険料の支払いの必要がありません。
健康保険料の支払いは、当月もしくは翌月と会社により異なります。
介護保険料
介護保険は、介護が必要になった場合に、介護サービスの利用負担を抑えるための制度です。
介護保険料は、社会人になったからといって必ずしも支払わなければならないわけではありません。
介護保険の支払いの対象となるのは40歳~64歳であり、保険料は給与額により異なります。
会社と半々の負担であり、健康保険料と合わせた金額を支払います。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は、毎月の給与・賞与をもとに算出されます。
算出方法は、以下のようになっています。
- 月々の保険料:標準報酬月額×保険料率
- 賞与の保険料:標準賞与額×保険料率
厚生年金保険料は、将来受け取る厚生年金額にも関連します。
また、厚生年金保険料は、遺族年金や障害年金などの財源ともなっています。
厚生年金保険料は、会社と従業員が半々で負担する仕組みです。
雇用保険料
雇用保険は、失業した場合、再就職までに必要な給付を受けられる制度です。
雇用保険料は、給与支給総額に一定率をかけて算出されるので、毎月金額が変動する仕組みです。
算出の際に用いる給与支給額には、交通費も含まれます。
雇用保険料も、会社と従業員が半々で負担することとなっています。
経費や交通費は税金の対象になる?
社会人になると、以下のように交通費や経費を取り扱うケースがあるでしょう。
- 交通費
- 通信費
- 消耗品費
- 交際費
会社側は、従業員の交通費も含め経費として取り扱うケースが多いです。
経費は税金の控除につながるので、企業側にとって節税となります。
ただし、私用のものに関しては経費計上できないため経費を取り扱う際は確認が必要です。
新社会人が差し引かれる金額の目安
新社会人になると、給与明細をもらいますが、以下の項目が記載されています。
- 支給額
- 振込額
支給額は額面給与であり、振込額は税金や社会保険料天引き後の給与です。
新社会人は、以下を差し引かれます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 源泉所得税
「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」の合計金額は、約29,000円となるケースが多いです。
また、源泉所得税は、扶養家族がいない場合、約3,800円です。
社会人2年目以降は住民税も差し引かれるので、さらに手取りが下がります。
年末調整が必要
社会人になると税金を支払いますが、過不足が発生するので年末調整が必要です。
会社に勤務している場合、所得税は給与天引きされるケースが多いでしょう。
ただし、天引きされる所得税額は概算なので、最終的には調整が必要です。
1年間の所得が確定する年末に、所得税の過不足を調整するのが年末調整です。
納め過ぎていた場合は還付があり、不足していた場合は追加徴収があります。
以下該当する方が、年末調整の対象になります。
- 年末まで会社に勤務している
- 源泉徴収がある
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出済み
年末に所属している企業が対象なので、年内に転職した場合は、転職先での年末調整が必要です。
たとえば、以下の方は、年末調整の対象外となります。
- 会社勤めでない
- 個人事業主
- 2000万円を超える給与所得がある
- 2カ所以上から給与を取得している…など
年末調整の対象でない場合は、個人で確定申告を行う必要があります。
手取りを確認する際の注意点
社会人になると税金を支払う必要があるので、手取りがどのくらいか把握したい方もいるでしょう。
手取りを把握する際は、注意すべき着眼点があります。
転職にも関連するので、ぜひ、チェックしてみてください。
求人票記載の金額と手取り金額は異なる
転職する際は、求人票を確認しますが、記載されている金額と手取り金額は異なります。
求人票に記載されている金額には、税金や社会保険料などが加味されていません。
実際の手取りは、税金や社会保険料を引かれるので、少なくなります。
たとえば、年収アップを目指して転職する場合、現職の手取り金額と求人票記載の金額を比較すると、転職先のミスマッチにつながる可能性があるので注意が必要です。
希望給与額は額面金額と認識されるケースが多い
転職の際、年収交渉などで希望給与額を伝えることがあるでしょう。
企業側は、希望給与額は額面金額と認識するケースが多いです。
そのため、認識違いがないよう、額面金額として希望給与額を伝えることをおすすめします。
手取り金額と認識して伝えると、実際には希望の年収に達さず、後悔する可能性があります。
現職の給与額を聞かれた場合は額面金額を伝えるのが一般的
現職の給与額を聞かれた場合は、額面金額を伝えるのが一般的です。
企業によっては、現職の給与額をもとに、入社後の給与を設定するケースがあります。
現職の給与額を手取り金額として伝えると、年収設定が低くなる可能性があるので注意が必要です。
新社会人向けの税金対策
新社会人になると、税金・社会保険料が天引きされるので、負担に感じる方もいるでしょう。
節税対策について把握しておくと、将来役立ちます。
ふるさと納税を行う
ふるさと納税は新社会人におすすめの節税方法です。
ふるさと納税は、手数料が2,000円かかりますが、寄付金額から自己負担分を引いた額が税金の控除の対象になります。
ただし、上限があり、社会人1年目は1~2万円となるケースが多いです。
また、寄付した自治体の返礼品ももらえるので、非常にお得でしょう。
ふるさと納税サイトで計算できるので、確認してみることをおすすめします。
iDeCoを利用する
「iDeCo」は確定拠出年金であり、加入は任意です。
iDeCoを利用する場合は、毎月積み立てを行い、老後資金に備えます。
iDeCoへの積み立て金は、所得控除の対象になるので、節税になります。
ただし、原則積み立て金を60歳まで引き出せないので、無理のない範囲で積み立て金を設定することが大切です。
節税対策に加え、老後の資金にも備えられるので、新社会人の段階で検討してみると良いでしょう。
将来必要となるお金を把握しておく
新社会人は、将来必要となるお金を把握しておくことをおすすめします。
社会人になると、将来に向けてお金の管理をする必要がありますが、必要となるお金を把握できていないと、計画性がなくなります。
たとえば、以下のように大きな出費が発生するケースもあるでしょう。
- 車を購入する
- マイホームを購入する
- 子どもの教育資金
全てを考えるのは難しいですが、大きなイベントをもとに人生設計を立てておくと将来に役立つでしょう。
安全資金で資産運用する
新社会人が将来に向けて資産運用する場合は、安全資金で行うことをおすすめします。
安全資金は、日常生活に必要な資金を確保した上で、数年間使う予定のない資金です。
というのも、資産運用では、途中で解約できないケースが多いです。
無理な金額で行うと、解約金が発生するなど、逆に損する可能性があるでしょう。
途中で生活資金が足りなくならないよう、安全資金を把握した上で資産運用しましょう。
まとめ
社会人になると、所得税、住民税、社会保険料など、給与から差し引かれるので、手元に残る金額が少ないと感じるケースがあります。
額面金額と手取り金額の違いを把握し、取り扱いに注意する必要があるでしょう。
また、社会人は、差し引かれる金額を踏まえ、将来に向けて貯蓄することが大切です。
社会人が支払う金額や節税対策について知り、将来に備えましょう。