働いている人の中には、今後の戦略と働き方について考える人もいるでしょう。仕事をして今は収入を得ていても、今後も安定してもらえる保証はありません。企業も競争社会となっており、働き方の変化もあることから、終身雇用で今の会社でずっと働き続けられる保証もありません。
そのため、今後も収入を得ていくためにはキャリアの見直しと働き方について計画していく必要があります。どのように計画して考えることができるのか終身雇用の崩壊と働き方の秘訣について紹介しましょう。
終身雇用とは何か?
終身雇用について内容を知っておきたい人もいるでしょう。終身雇用とは企業が倒産しない限り定年まで雇用される制度のことです。日本特有の制度であり、海外などでは導入されていないため、珍しい雇用形態とも見られています。日本で終身雇用制度が始まったのはパナソニックを築いた松下幸之助がきっけかと言われています。
1929年の世界恐慌の時代に創業した松下電機の工場では稼働率が低下して社員の解雇リスクが高まっていました。その中で従業員を1人も減らさないという方針を打ち出した松下電機は、その後に急激な成長を実現させることができました。これが他の企業に影響を与えて終身雇用制度が確立されたようです。
そのため、日本では企業は従業員を解雇しない終身雇用が当たり前になり、従業員は定年まで働くことが普通となりました。
終身雇用制度が崩壊しているのはなぜか?
日本では長く終身雇用制度が続いていましたが、今ではその制度を維持するのが難しく崩壊してきています。現在ではリストラなどもあり、企業に就職できたとしても定年まで働ける可能性は低いです。なぜ、終身雇用が難しくなっているのか、その背景を紹介しましょう。
労働者の意識変化
終身雇用制度が崩れている理由の1つに労働者の意識変化があります。2019年の総合転職エージェントのワークポートは転職者を対象にして終身雇用についてのアンケートを実施したようです。すると、結果として54.3%の方が「いいえ」と答え、終身雇用を必要としていない人が半分以上もいました。
終身雇用に賛成できない人の意見には「能力よりも年功序列の評価になる」「副業や転職、キャリア形成など自由に行えるのが良い」という意見が多いため、時代の変化によって労働者の考え方も変わってきています。
以前であれば終身雇用による安定性の高さが魅力的になってきていましたが、今では自分のキャリアアップや社会情勢に合わせた働き方への意識が高まってきているため、魅力が半減してきていると言えます。
ITの導入による状況変化
終身雇用が崩れている理由の2つ目は企業のIT化の導入です。今では多くの作業をデジタル化する動きになってきており、人が手作業で行っていたこともロボットやコンピューター、またツールを利用することで効率的に行っていくことが可能です。企業のデジタル化の動きにより効率化が進められており、無駄なものは削減していく傾向になっています。
特に、人件費の削減は企業にとっても削減対象として課題としているところが多く、デジタル化による変化で一層進められています。そのため、企業側としても多くの人材を雇用する方針ではなくなってきているため、終身雇用制度を採用する企業は減少傾向です。
特に、今は働き方改革などもあって長時間働くことよりも効率的に作業することが求められています。社会情勢の変化や利益の確保により、終身雇用を維持する会社は減少してきています。
早期退職や希望退職の募集
近年、企業では早期退職や希望退職を募集することが増えてきています。企業としては新しい人材や優秀な人材を育成するために、ある程度の採用活動を行いますが、多くの従業員を抱えられるわけではありません。
そのため、人員削減を行うために50代を対象にして早期退職や希望退職を行い、調整する企業が多いです。50代を中心にしているのは退職までの期間が短いこと、また最も人件費がかかる世代や年功序列を意識するというところでもあるため、募集対象にしているようです。
企業としても終身雇用を意識するのではなく、企業の発展のために施作を行うようになっています。そのため、終身雇用を維持することが難しくなってきています。
転職や独立などの傾向になっている
終身雇用が維持できなくなっているのは、企業も従業員も転職や独立などを考えること、また容認する傾向となっているためです。上記でも紹介しましたが、従業員の中には若いうちにキャリア形成をして、転職や独立を考える人が増えてきました。そのため、今会社で働いている優秀な人材は、ずっと同じ会社で働くよりも転職や独立をして、自分の能力を発揮することを重視しています。
また、従業員の中には会社で長時間働くよりも、ライフスタイルのを優先することや結婚や出産後に安定して働ける職場を探すなど、いろいろな働き方を考えるようになっています。そのため、転職や独立などが当たり前になってきており、従業員を確保して終身雇用させること自体が難しいです。
さらに、企業側も人材を確保するために新卒採用だけでなく、中途採用や転職者も積極的に受け入れています。また、今では外部の業者やフリーランスに仕事を委託させることもできるため、企業側も転職や独立をする人を過度に引き止めることも少なくなっています。このような変化から終身雇用は崩壊してきていると言えるでしょう。
終身雇用の崩壊に備えてどのような対策を行うべきか?
終身雇用の崩壊に備えて、企業も従業員も対策を行うことが大事です。終身雇用が期待できないなら、企業の場合は労働力の確保が難しくなること、また従業員であれば同じ職場で働くのが難しくなります。それぞれ、どのような対策を立てることができるのか内容を紹介しましょう。
企業側の対策
企業側は終身雇用に対して、どのような対策を取ることができるのか知っておきたいでしょう。企業側は以下のような対策を行うことができるでしょう。
評価制度の確立
従業員を確保するためには、評価制度を確立させることも1つの方法です。終身雇用の場合は年功序列となっていましたが、評価制度の場合は従業員の成果に合わせて待遇を変更させることです。今会社で働く若い従業員は成果に合わせて、ポジションや給与アップを考えて欲しいと思う人が多いです。
成果を出している優秀な従業員でも、正当な評価を与えられないなら転職や独立などを考えるため、流出してしまうことになるでしょう。企業としては評価制度を整えて、正当な報酬を与えることができれば、従業員を引き止めることができ、優秀な人材を確保しやすくなります。評価制度はツールを利用するなど、いろいろな方法があるため考えてみましょう。
中途採用や働き方制度の改革
中途採用や働き方制度の改革も考えてみることができます。今の情勢では、企業にとって同じ従業員にずっと働き続けてもらうことは難しい状況となっています。いろいろな制度を確立しても優秀な人材は独立をして離職してしまう可能性があるため、人材を確保するのは難しい状況と言えます。
そのため、人材育成などをしながら一方で部分的に人材を確保できるように臨機応変に対処していくことが大事です。その方法として、中途採用や働き方制度を変えてみるのも1つの案です。中途採用による募集を行うなら、ある程度スキルや実績、経験を持った人材を確保するために、条件を追加して探すことができます。
中途採用でスキルを持った人を採用できれば、自社の新規事業計画に貢献してもらうことや、今不足している人材を補強することが可能となります。また、働き方を変えてみるのも良い方法です。人材を確保するとしても今はライフスタイルを重視する人も多いため、シフト制度を導入することもできます。もし、オフィス以外でも作業できるようなら、リモートワークの実施を考えてみることもできます。
従業員が働きやすい環境を作ることができるなら、子育てなどでをしている女性の方も雇用しやすくなるため、考えてみることができます。
従業員側の対策
従業員の方も終身雇用制度の崩壊から対策を考える必要があります。しっかり対策を考えることで時代を生き抜くことができ、理想の働きとなるはずです。終身雇用に頼らず生き抜くために以下のポイントを参考にしてください。
スキルや知識を身に付けてキャリア形成を行う
終身雇用をが崩壊している企業が多いため、就職して同じ会社でずっと働くことは難しくなっています。今は問題なくても企業の業績が悪化してくるなら今後、人員成整理などでリストラに合う可能性もあり、さらに倒産して新たに職を探さなくてはいけない場合もあります。
また、同じ会社でずっと働いていても給料がなかなか上がらず、労働時間と収入の割合に不満を感じることもあるでしょう。そのため、スキルや知識を身に付けてキャリア形成を行うのがおすすめです。知識やスキルを身に付ければ会社への成果も出しやすくなり、給与アップを期待することができます。
それだけでなく、他の職場でも必要な人材と診てもらいやすくなるため転職も行いやすくなり、自分に合った条件の仕事を行える期待も持てるでしょう。スキルや知識にもいろいろありますが、IT関連だと各企業はツールの導入などを行っているため、自分の価値を高めることができるでしょう。スキルや知識の向上について考えてみてください。
会社以外の収入を考えてみる
終身雇用制度が崩壊している今、勤務年数によって収入が上がっていくわけではありません。会社の業績によっては何年勤務しても給与があまり上がらないこともあるため、1つの仕事での収入では限界がある場合もあります。
そのため、会社以外の収入として副業を考えてみることができます。副業を行うなら本業でもらう収入にプラスすることができるため、足りない部分を補填することが可能です。副業にもいろいろなものに取り組むことができますが、代表的なものであれば株や不動産などに投資をして資産運用することです。株などの場合は長期投資になり、分配金や配当金を安定的に得ることができます。
もし、企業に勤めていて給料が下がったとしても、配当金を安定的に得ることができれば、生活を支えることが可能です。株などの投資だと時間を多く割くこともないため、本業に差し支えることもなく影響は出ません。
以前は副業を禁止している企業も多くありましたが、今では半分以上が容認しているため、副業は行いやすい環境となっています。もちろん、自分の勤め先が容認しているのか確認する必要はあり、本業とのバランスを取ることも大事なので難しい部分でもありますが、考えてみることができるでしょう。
独立やフリーランスとして自分で稼ぐことを考える
終身雇用を当てにすることは難しくなっているため、独立やフリーランスとして働くことも考えてみることができます。企業の従業員として働いている際は何時間か労働をすると残業手当が付くことはありますが、給料が決まっており変動はほとんどしないでしょう。
仕事で成果を上げても給料が大幅にアップするわけでもありません。また、勤務時間に縛られることにもなるため、ライフバランスも保ちにくいです。このように企業に勤めることが難しく感じるなら、独立やフリーランスとして働く方が自分に合っていることがあります。
独立やフリーランスは自分で働いた分だけ収入を得ることができ、自分で仕事スケジュールも行えるため、仕事とプライベートのバランスも取りやすいです。スキルや知識はある程度必要となりますが、自分に合った働き方として考えてみることができます。
終身雇用の崩壊から自分の働き方を考えよう
今の時代では終身雇用を維持することは難しくなっているため、企業側も従業員側も将来に備えて計画することが大事です。新たなやり方を見つけることで、企業は人材確保ができ、従業員側はキャリア形成を行って収入を確保することができます。ぜひ、それぞれに合った方法を見つけるようにしてください。