「ビジネス界の言葉遣いが分からない」
「丁寧な敬語を使うのが難しい」
ビジネス界では正しい敬語を用いることが重要ですが、ビジネスマナーの基本を把握できていない方もいるでしょう。
まずは基本として、尊敬語、謙譲語、丁寧語の違いを把握し、正しく使い分けることが大切です。
また、ビジネス敬語は間違って使われるケースも多いので、あらかじめ間違いやすいパターンを認識しておく必要があります。
本記事では、ビジネスマナーの基本として敬語の使い方を中心に解説します。
ビジネス界で敬語が重要な理由
ビジネス界では、正しい敬語を使うことが重要と言われています。
敬語は以下のような理由から正しく使えるようになることが大切です。
- 相手へ敬意を示す
- 社会的な立場を明確にする
- 良好な人間関係を築く
敬語を使用することで、立場が明確になりけじめがつきます。
また、敬語を使うことは相手へ敬意を示すことにもなります。
敬語を正しく使うことを意識すると、相手への気配りにもなるでしょう。
信頼関係を築けると、円滑なコミュニケーションを取れるようになります。
敬語はビジネス界で重要なツールなので、正しく使えるようにマスターしましょう。
言葉遣いは相手に合わせて調整しよう
ビジネス界で信頼関係を築くには、言葉遣いが重要です。
社会人は、目上の方や取り引き先、お客様、同僚、後輩など様々な立場の方と関わることになります。言葉遣いは相手に合わせて調整することが大切です。
目上の方への言葉遣い
目上の方と関わる際は、正しい敬語を使うことが大切です。
ビジネス界での目上の方は、以下のような方が挙げられます。
- 職場の先輩・上司
- 取り引き先の相手
- お客様
目上の方には、基本的に尊敬語を使用します。
同期・同僚への言葉遣い
同期・同僚に対しては、フランクな言葉遣いになりがちですが、ビジネス界では丁寧な言葉を使うことが大切です。
というのも、職場では、いつどこで会話の内容を聞かれているか分かりません。内容や言葉遣いによっては、印象が悪くなる可能性があります。
誰に聞かれても不快な思いにさせないよう、言葉遣いに気をつけましょう。
後輩への言葉遣い
ビジネス界では、後輩への言葉遣いにも配慮が必要です。
威圧的な言葉を使ったり、あまりにも馴れ馴れしい言葉を使うと、パワーハラスメントやモラルハラスメントとして捉えられる可能性があります。
いつ誰に聞かれても良いよう、後輩であっても場をわきまえた言葉遣いを用いることが大切です。
なお、呼び方も「~さん」などを用い、あだ名やフランクな呼び名を使用しないようにしましょう。
ビジネスマナーとしての正しい敬語の使い方を把握しよう
ビジネスシーンでは、敬語を使うべきシーンが多数あります。
敬語は「使う場面」「使う相手」によって、使い分ける必要があります。
敬語の種類は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 尊敬語
- 謙譲語
- 丁寧語
状況に応じて正しく使うことが大切です。
尊敬語
尊敬語は、目上の人に対して使う敬語です。
尊敬語は、以下のような場面で使用します。
- 上司と会話する
- 取り引き先・お客様とコミュニケーションを取る
尊敬語の例は以下の通りです。
- ~する:なさる
- 座る:お掛けになる
- 見る:ご覧になる
- 聞く :お聞きになる
- 来る :いらっしゃる
通常、「~される」「お(ご)~になる」をつけると、尊敬語になります。
謙譲語
謙譲語は、目上の人に対して自分の行動をへりくだる表現です。
たとえば、謙譲語は以下が挙げられます。
- 言う:申し上げる
- 聞く:うかがう
- 見る :拝見する
- 食べる :いただく
- 与える :差し上げる
- お礼する : お礼申し上げる
「見る」「食べる」など特別な表現のある謙譲語以外は、「お(ご)~する」「お(ご)~申し上げる」をつけることで、謙譲語となります。
丁寧語
丁寧語は、対象に関わらず、様々な場面で使用します。
冒頭に「お(ご)」をつけたり、文末に「です(ます)」をつけたりします。
「お」は訓読みの単語に、「ご」は音読みの単語につけるのが一般的です。
たとえば、「お名前」「お電話」が訓読みの「お」をつける単語です。
「ご意見」「ご予算」は音読みの「ご」をつける単語です。
丁寧語は相手を問わずに使用できるので、活用シーンが広いでしょう。
間違いやすい敬語表現・ビジネスマナーをチェックしよう
普段、敬語を正しく使えているでしょうか。
実は、間違えて使われている敬語も多いです。
認識していないと、気づかずに使い続けることとなります。
早めに修正できるよう、チェックしてみてください。
アルバイト敬語に注意が必要
若手の方は、アルバイト敬語が染みついているケースがあります。
アルバイトの段階では当たり前のように使用していたとしても、正社員として責任ある立場になると、正しい敬語を求められます。
たとえば、「よろしかったでしょうか」などが例として挙げられます。正しくは、「よろしいでしょうか」となります。
今使用している敬語が正しいか、一度見直してみる必要があるでしょう。
二重敬語に注意する
敬語を重ねる二重敬語に注意が必要です。
丁寧に話したい気持ちが強いと、余計な敬語で違和感ある表現になります。
二重敬語のパターンは以下が挙げられます。
- 「お〜(ご)〜になる」と「れる」「られる」を合わせる
- 謙譲語と「させていただく」を合わせる
- 敬称に「様」をつける
- 各位に「様」をつける
たとえば、二重敬語の例としては、以下が挙げられます。
- ご覧になられる
- おっしゃられる
- 拝見させていただく
- 社長様
相槌に注意する
ビジネスのシーンでは、相槌を打つケースがあるでしょう。
ただし、目上の人に対して相槌を打つ際は、敬語表現に注意が必要です。
相槌として適切な表現は以下が挙げられます。
- ・おっしゃる通りです
- ・左様でしたか
- ・勉強になります
一方、「参考になります」は、相槌としてふさわしくないと言われています。自分の考えの方が上というニュアンスで受け取られる可能性があるのです。相槌で良好な関係を築けるよう、注意して使用しましょう。
なお、相槌は「1回だけ」というのが基本です。
ビジネスシーンでの定型表現を知っておこう
ビジネスシーンで正しい敬語を自然に使うには、定型表現を知っておくことが大切です。
定型表現を把握しておくと、敬語が苦手でもスムーズに使えるでしょう。
ビジネスシーンで使える表現をご紹介しますので、参考にしてみてください。
自分・相手の呼び方の定型表現
ビジネスシーンでは、自分・相手の呼び方に迷うケースがあります。
電話対応、取り引き先とのやり取り、上司との会話など様々です。
自分・相手を呼ぶ際は、正しい呼び方を把握しておくことが大切です。
たとえば、以下が挙げられます。
- わたくし・わたくしども
- 弊社・当社
- 御社・貴社
また、外部の人に対して自分の上司の名前を出す際、敬称をつけないなどのマナーも押さえておく必要があります。自分の身内の名前を出す際も同様です。
挨拶の定型表現を覚えよう
ビジネスで正しく敬語を使うには、挨拶の定型表現を覚えることが大切です。
たとえば、良く使われる定型表現は、以下が挙げられます。
・お疲れ様です
「お疲れ様です。」というのは、社内の人に対する挨拶としてよく用いられます。「ご苦労様です。」は目上の人には使わない表現です。ビジネス界では、使い分けるのではなく、「お疲れ様です」に絞ると分かりやすいでしょう。
・お世話になっております。
「お世話になっております。」は、社外の人への挨拶として用いられます。メールなどでも使用されているので、覚えておくと良いでしょう。
・かしこまりました。承知しました。
「かしこまりました。」「承知いたしました。」は相手に言われたことに対し、分かりましたというニュアンスを伝える際に使用します。
・申し訳ございません
「申し訳ございません。」は丁寧に謝る際の表現です。
・~致しかねます
「~致しかねます。」はできないことを伝えるときに用います。
お客様に対して使うケースもあります。
・~して頂けませんか
「~して頂けませんか」は相手にお願いしたいときに用いる表現です。
何かを依頼する際は、丁寧な表現として覚えておきましょう。
砕けた表現を使用しない
ビジネス界では、砕けた表現を使用しないことが大切です。
とくに、関係性が深まり仲良くなると、フランクな話し方になりがちでしょう。
プライベートでも仲良い相手であれば許容されるケースはありますが、基本的にビジネスの現場では言葉遣いに気を付けることが大切です。
とくに、呼び方に注意が必要で、ビジネス界で「~ちゃん」などやあだ名で呼び合うと注意されるケースがあります。
クッション言葉を使用する
定型表現として、クッション言葉を覚えておくと便利です。
クッション言葉は、相手に対する反対意見や無理なお願いをするときに用いられる表現です。
たとえば、クッション言葉には以下があります。
- 恐れ入りますが
- お手数ですが
- あいにくですが
- 失礼ですが
- 申し訳ございませんが
クッション言葉を使用することで、印象が大きく変わります。ビジネス界では、クッション言葉を使用するのが、円満な関係を築くポイントです。
ビジネス界での言葉遣いの注意点
ビジネス界で信頼関係を築くには、言葉遣いが重要です。
打ち合わせなどの場面では気を付けるケースが多いですが、日常的な雑談でも相手に不快感を与えないよう、注意する必要があります。ビジネス界での言葉遣いの注意点について詳しく解説します。
何気ない雑談での言葉遣いに注意する
ビジネスシーンはもちろんですが、何気ない雑談での言葉遣いにも注意が必要です。
日常生活では、カジュアルな言葉を使用している方が多いでしょう。
普段の口癖は、目上の方や外部の方との雑談でもついつい出てしまうケースがあります。
雑談の中でも言葉遣いに問題があると、信頼を落とす可能性があります。
とくに、緊張している場面では、使い慣れていない言葉を使用するのは難しいでしょう。
ビジネス界では、普段から丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
TPOに合わせた言葉遣いを意識する
ビジネス界で良好な関係を築くには、TPOに合わせた言葉遣いを意識することが大切です。業務年数が長くなるにつれ、専門用語なども使いこなせるようになります。ただし、コミュニケーションを取る際は、相手に伝える意識が重要です。
理解しにくい言葉を使用すると、印象が悪くなる可能性があります。
相手へ配慮し、必要に応じて分かりやす言葉を使用するなどの工夫も大切なポイントです。とくに、異業種の方とのやり取りでは、専門用語は通じにくいので注意が必要です。
まとめ
ビジネス界で良好な関係性を築くには、正しい敬語を使うことが大切です。
言葉遣いのマナーが分かっていると、相手からの印象が良くなるでしょう。
一方、間違った敬語を使用すると、相手からの評価が下がる可能性があります。
また、「クッション言葉を使用する」「TPOに合わせた言葉遣いを意識する」などの工夫をすることで、相手と良好なコミュニケーションを取れる可能性が高まります。
正しい敬語の表現を認識し、信頼関係を築きましょう。