「円満退職を実現するにはどうすれば良い?」
「退職時はどのような手続きが必要?」
退職を検討している方は、少なからず退職の進め方などについて悩むケースがあるでしょう。
円満退職を実現するには、退職の切り出し方や手続きの進め方などのポイントを押さえておく必要があります。
また、退職までには引継ぎなどやるべきことが多数あるので、計画的に進めることが大切です。
本記事では、円満退職に向けた退職の進め方などについて詳しく解説します。
退職の進め方を把握しておこう
退職をスムーズに進めるには、退職の進め方を把握しておくことが大切です。
また、それぞれの過程で押さえておくべきポイントがあります。
トラブルにならずに円満退職できるよう、退職の進め方を把握しておきましょう。
退職の意志を確認する
退職を切り出す前は、まず、自分の意志を再確認することが大切です。
意志が固まっていない状態で退職を切り出すと、迷いが生じる可能性があるためです。
退職を切り出した後で残りたいという結論になった場合、「会社に居づらい」という状況になるケースもあるでしょう。
退職は大きなイベントなので、感情的に動くのではなく、改めてキャリアプランなどを考慮し慎重に検討しましょう。
退職の話を切り出す
退職の話を切り出す際は、まず、直属の上司に伝えることが大切です。
先に社長などに伝えると、直属の上司との信頼関係が崩れる可能性があります。
また、同僚や先輩に話し、間接的に上司の耳に入るのも良くありません。
退職を決めたら、まずは直属の上司に相談しましょう。
退職届を出す
退職届は、退職を切り出すタイミングではなく、会社に退職を承認された後で出します。
法律では14日前となっていますが、ぎりぎりでは現職に迷惑になるので注意が必要です。
通常、退職の1ヶ月前までに提出するのが一般的です。
また、会社によって提出方法が異なります。
退職届のフォーマットに規定がある場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
提出先の確認も必要です。
引継ぎを行う
退職する際は、計画的に引継ぎを行う必要があります。
直属の上司に相談し、引継ぎを行う方法やスケジュールを決めましょう。
後任の方が困らないよう、資料をまとめるなど工夫しておくとスムーズです。
会社への返却を行う
退職前は、会社から借りていたものを返却します。
たとえば、会社から借りたパソコン、携帯電話、カードキーなどは返却しておきましょう。
また、会社の情報を持ち出さないよう注意が必要です。
自分で作成した資料なども、同様に外部へ持ち出さないようにしましょう。
トラブルにならないよう、情報も含めて管理しておくことが大切です。
必要なものを会社から受け取る
退職する際は、以下のようなものを会社から受け取ります。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
会社に預けている場合と自分で保管している場合があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
再就職の際の提出や各種手続きで必要になるので、大切に保管しておくことが大切です。
退職の意志を伝えるタイミング
退職を決めた場合、いつ意志を伝えるか悩む方もいるでしょう。
退職の意思表示はタイミングが重要です。
タイミングを考えずに退職を切り出すと、現職に迷惑がかかったり、ボーナスなどの関連で後悔する可能性があります。
退職の意志を伝えるタイミングを決めるポイントを見ていきましょう。
退職の意志を早めに伝える
法律上は2週間前に申告すれば可能となっています。
ただし、通常、遅くとも1ヶ月前には伝えるのが一般的です。
会社によっては就業規則で定められているケースがあるので、確認が必要です。
というのも、退職前には、「引き継ぎ時間を確保する」「書類の整理をする」など、やるべきことが多数あります。
また、会社によっては後任を決める必要があるでしょう。
退職前の日数に余裕がないと現職が困る可能性があるので、早めに伝えることが大切です。
有給休暇の取得を考慮する
退職をする際は、有給休暇の取得を考慮する必要があります。
有給休暇を消化して退職する場合、引き継ぎなどに影響がないよう調整が必要です。
有給休暇は、最終出勤日前もしくは後に取得するパターンがあります。
会社と相談し、有給休暇取得を考慮した日程調整をすることが大切です。
ボーナスのタイミングを考慮する
退職する際は、ボーナスのタイミングを考慮するのがおすすめです。
支給日前に退職すると、ボーナスを受け取ることができません。
また、ボーナスの額が決まる前に退職を切り出すと、支給額に影響するケースもあります。
ボーナスを意識するのであれば、支給後もしくは支給額決定後に退職を申し出るなど、調整が必要です。
円満退職のポイント
円満退職につなげるには、現職が困らないよう、書類の提出や引継ぎなどのスケジュール管理をすることが大切です。
あらかじめポイントを押さえておきましょう。
書類の提出期限を守る
退職が決まったら、退職に関する書類を提出することになります。
書類の提出期限を過ぎると現職へ迷惑をかける可能性があるので、期限を守ることが大切です。
書類作成に時間がかかるケースもあるので、早めに準備しましょう。
周囲に退職・転職することを漏らさない
退職を伝えるには、順序があります。
まずは直属の上司に伝え、退職が受理された後で周囲に伝えることが大切です。
「いきなり人事に伝える」「同僚に漏らす」などにより情報が漏れると、トラブルになる可能性があります。
退職は重要なイベントなので、情報管理に注意しましょう。
引き継ぎをしっかり行う
退職する際は、後任者がスムーズに業務を進められるよう、引き継ぎをしっかり行うことが大切です。
引き継ぎには時間がかかることがあるので、計画的に進める必要があります。
「マニュアルを作成しておく」「業務の進捗状況をまとめておく」など、準備しておきましょう。
退職日までに引き継ぎがスムーズに進まない場合、迷惑がかかる可能性があるので注意が必要です。
退職理由の伝え方に注意する
退職する際は、退職理由の伝え方に迷うケースがあるでしょう。
退職の際に現職に不満があったとしても、そのまま伝えるのは良くありません。
たとえば、以下のようなポジティブな理由を伝えましょう。
- どうしてもやりたいことがあり、転職したい
- キャリアアップを目指したい
退職理由を伝える際は、ポジティブな理由を心がけましょう。
会社から引き止められた場合の対処法を把握しておく
退職する際、会社や上司から引き止められることがあります。
「昇級や昇進を条件に引き止められる」「強気の態度で出られる」など様々です。
とはいえ、引き止められたとしても退職は権利です。
退職の意思が固いこととともに、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
トラブルに発展する場合は、労働基準監督署への相談も手段です。
退職関連のトラブルの対処法
退職する際、必ずしもスムーズに進むとは限りません。
会社によっては、何らかのトラブルに発展するケースもあります。
とくに、退職日や有給休暇取得はトラブルのもとになりやすいので、あらかじめ把握しておきましょう。
退職日を強制的に指定される
退職するまでの日数は法律にて定められています。
日給制と月給制によっても異なりますが、最短申し出から14日経過すると退職可能です。
ただし、就業規則により1ヶ月前などと定められていることもあります。
とはいえ、法律の方が就業規則よりも効力があるので、あまりにも退職を認めてもらえない場合は、法律に基づいて退職可能です。
有給休暇の消化が許可されない
有給休暇の取得は労働者の権利なので、取得することが可能です。
入社後6ヶ月以上勤務しており、労働日数の8割以上出勤している場合は、有給休暇の取得を申告できます。
就業規則に記載がない場合でも、有給休暇の取得を拒否することはできません。
トラブルに発展する場合は、労働組合や労働基準監督署などへ相談可能です。
退職後の手続きを把握しておこう
退職する際は、退職後の手続きについても把握しておく必要があります。
退職後の手続きは、転職先がきまっている場合とそうでない場合とで異なります。
転職先がきまっており、すぐに勤務開始できる環境であれば、転職先にて手続きが完了するケースが多いです。
ただし、退職後すぐに働き始めない場合は、個人で手続きを行う必要があります。
健康保険の手続き
退職後、再就職までに期間が空く場合は、健康保険の切り替え手続きを行う必要があります。
退職後は、「国民保険への加入」もしくは「前職の健康保険の継続」のいずれかを選びます。
国民保険への加入を選択する場合は、退職翌日から2週間以内の手続きが必要です。
手続きは、市区町村の国民健康保険窓口で行います。
スムーズに手続きを行えるよう、あらかじめ準備物を確認しておきましょう。
一方、前職の健康保険を任意継続する場合は、退職日の翌日から20日以内の手続きが必要です。
2ヶ月以上、退職前の健康保険に加入している場合のみ継続可能です。
手続き場所は、協会けんぽの支部もしくは健康保険組合です。
ただし、継続する場合は、保険料の会社負担分がなくなるので、負担が大きくなります。
失業保険
退職後、再就職までに期間が空く場合は、失業保険の受け取りが可能です。
失業保険を受けるには一定の条件を満たす必要があるので、確認が必要です。
なお、自己都合もしくは会社都合などの退職理由によっても、支給条件が異なります。
年金
会社勤務時は厚生年金保険に加入していますが、退職後は国民年金を納めることになります。
国民年金の加入手続きは、退職後14日以内に行う必要があります。
手続きは住民票のある市町村の国民年金窓口にて行います。
あらかじめ必要なものを確認しておきましょう。
なお、再就職後、条件を満たせば厚生年金保険への再加入が可能です。
住民税
会社勤務の際は、住民税は給与より天引きされますが、退職後は自身での住民税の納付が必要です。
住民税は、前年の所得が対象となり、退職時期により徴収方法が異なります。
【1/1~5/31までの退職】
5月末納付予定の住民税が、一括で退職月に天引きされます。
【6/1~12/31の退職】
退職月までは、住民税は給与天引きされます。
退職翌日以降の住民税は、以下のいずれかを選べます。
- 退職時に一括で天引きする
- 普通徴収で自身で納付する
所得税
所得税は、実際に収めるべき額と、毎月の給与から源泉徴収される額に相違があるケースがあります。
そのため、過不足がないよう調整する必要があります。
過不足分の調整方法は、転職が年内と年明けで異なります。
【年内の転職】
年内の転職であれば、新しい会社での年末調整が可能です。
【年明けの転職】
年明けの転職の場合は、確定申告が必要です。
なお、12月に転職したとしても年末調整ができなかった場合は、確定申告を行うことになるので、注意しましょう。
まとめ
円満退職を実現するには、退職の進め方を把握し、計画的に手続きを進めることが大切です。
また、退職までに必要な引継ぎや有給休暇取得などをスムーズにできるよう、あらかじめ上司に相談しておきましょう。
退職後も様々な事務手続きがあるので、準備しておくことが大切です。
退職のポイントを把握し、円満退職を実現しましょう。